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国際関係学科国際文化学科

国際関係学部新入生のみなさんへ―前期授業期間の発表に際して―

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 国際関係学部の前期授業が、5月21日開始、8月12日終了と発表されました。新入生のみなさんは外出自粛のなか、不安な日々を過ごされていることと思います。今、大学は全力を挙げて、「学生が登校しない形式の授業」の準備を進めています。必ずや、通常と変わらぬ授業内容を、さまざまな手段を用いて提供します。大学ホームページ、国際関係学部ホームページ、DBポータルを毎日閲覧し、すでに案内されている内容、これから案内される内容を確認してください。試行錯誤もあろうかと思いますが、教員とともに、この難局を乗り越えていきましょう。

 現下のウィルス感染拡大による深刻な状況は、「第二次大戦以降、最悪の危機」などと呼ばれています。その通りであろうと思います。学生のみなさんのみならず、現役の教職員にとっても、生まれて初めて直面する事態です。

 しかし、私は新年度の授業開始が延期されたとき、2011年の東日本大震災を思い起こしました。あのときも大学の卒業式は中止となり、かろうじて学部別の修了証書授与が行なわれただけでした。もちろん、被災地である東北各県に比べれば、関東は通常に近い状態でしたが、それでも交通機関の運行本数が極端に少なく、大学への移動自体が困難でした。新学期の授業開始も1か月延期され、8月中旬まで講義が続きました。節電が求められ、計画停電も実施されたため、夜の東京は真っ暗になっていました。

 2011年の暗い東京をながめた時、私は1973年の石油ショックを思い出していました。当時、私は中学1年生でしたが、第四次中東戦争(自分で調べてください)により、石油の輸入が止まるという事態になりました(実際は止まらなかったのですが)。節電のため繁華街のネオンは消え、人々は買い占めに長蛇の列を作りました。ガソリンスタンド休業のため、ガソリンを入れたポリタンクをトランクに入れた車が増え、運転中にポリタンクの栓が緩んでガソリンが漏れて、走行中の車が突然爆発するという信じられない事件まで起きました。このとき、人々は燃料油のみならず、ほとんどすべての商品に石油が使われていること、そして石油とは中東から来るものだということを、初めて知りました。かく言う私も、その一人です。私の専門は中東の政治であり、この道に入るきっかけとなりました。

 現在のウィルス危機がなければ、これらのことは思い出さなかったでしょう。本当は過去の出来事を忘れてはいけないのですが、日常の生活や仕事は過去を置き去りにするくらい、動き続けていきます。特に新入生のみなさんは、卒業式や入学式の中止で残念な思いをし、今は特殊な授業形態に不安を募らせていることと思います。しかし、それも特に意識しなければ思い出すこともない、普通の日々がすぐに戻ってきます。とにかく、しのいでください。いろいろな授業も、続ければすぐに慣れます。はじまれば、予想以上に早く終わってしまいます。この危機が、将来の自分にとって何らかのプラスとなるために、授業のなかに特別な興味や関心が発見できるよう、すべての科目に意欲と緊張感を持って臨んでください。

 

国際関係学部長 松本 弘