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国際関係学科国際文化学科

田辺清教授の「最終講義」が行われました。

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 1月11日午後1時15分より、東松山キャンパス11号館0102教室において、田辺清教授の最終講義が行われました。タイトルは「レオナルドと蔵書ー東方と古典古代ー」。授業履修者や教職員など約150名ほど(オンライン配信参加者も含む)の方々にご参集いただきました。

 松本弘国際関係学部長の挨拶のあと、岡本信広国際関係学科主任より田辺教授の経歴が紹介され、田辺教授の最終講義が始まりました。

「レオナルド・ダ・ヴィンチの研究」

 レオナルド・ダ・ヴィンチは《モナ・リザ》で有名です。1974年に《モナ・リザ》が初来日し、日本でも注目されるようになりました。田辺先生は、当時研究されつくされているといわれるレオナルド・ダ・ヴィンチの研究を進めてきました。1978年にロンドン大学付属コートールド美術研究所に3年間留学。その間にレオナルド・ダ・ヴィンチ周辺の画家たちを研究テーマに含めて研究領域を拡大されました。2003年に『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウンの長編推理小説、のちに映画化され世界中で大反響を呼んだ)が出版されると、日本国内でもレオナルド・ダ・ヴィンチに再度注目が集まります。それから田辺先生は日本国内のレオナルド・ダ・ヴィンチに関する書籍や展覧会企画に関わられるようになります。同時に、田辺先生はレオナルド・ダ・ヴィンチ自体の研究を深められ、各種メディアにてレオナルド・ダ・ヴィンチの魅力を発信するようになりました。2016年には江戸東京博物館で開催された『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』にて皇室一家をご案内することにもなりました。

「レオナルドと蔵書ー東方と古典古代ー」

 レオナルド・ダ・ヴィンチには160数冊の蔵書があったといわれています。その蔵書が彼の作品に大きな影響を与えており、またアジア地域(東方)への関心もあったのではないかと考えられています。

 蔵書にあるプリニウス『博物誌』という書物からは、ビーナスへの憧憬、東方への意識などが感じられます。

例えば、レオナルド《岩窟の聖母》は岩窟が注目され、これはレオナルドの膨大な手稿の一部に記されている洞窟に対する関心を反映しているのではないかと考えられています。

 レオナルド《東方三賢王の礼拝》は未完成作品ですが、レオナルドのデッサン力の強さ、本質がわかる作品です。コプト美術《エジプトへの逃避》などにもつながる部分があります。

 レオナルド自身は未婚でした。そのため理想の女性像を求めていたといわれています。また宗教的テーマの作品が多いものの、彼自身がキリスト教徒になったのは最晩年であるとされており、聖母マリアなどは信仰の対象というよりも客観的に、その優美さが描かれたものであり、これがさらにレオナルド作品を不思議なものにしているようです。

 田辺先生は、今後も本学東洋研究所で研究を続けられる予定です。最後には、レオナルド・ダ・ヴィンチに関する蔵書が図書館に多くあるので、それらを整理しつつ、研究を深めたいという将来への抱負を語っておられました。

 講義終了後、国際関係学部事務室より田辺先生に花束が贈呈されました。講義後も多くの学生に取り囲まれて、笑顔で学生との写真撮影を楽しまれていました。