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「企業と雇用A」・特別講演Ⅱ「就活で最も大切なこと」報告

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 2017年度「企業と雇用A」の締め括りは「特別講演Ⅱ」。1月19日(金)15時より、8号館8341教室において、サンメンバーズ株式会社の髙橋祐介代表取締役社長による「就活で最も大切なこと」と題する講演が行われました。

 髙橋社長には、2016年度「大学生のための県内企業魅力発見事業」で、2年生30名を対象とする「問題解決学」の課題出し企業としてご指導いただきました。

 

 講演のはじまる前に、資料と付箋と名刺が配付されました。名刺をご覧ください。「がんばれ 大東文化生!!」という応援メッセージと大学のロゴマークが躍っています。髙橋社長の講演にかける熱い情熱に講演前から圧倒されそうでした。

 

 社長からは、ノートにメモするのではなく、「気になったこと」を付箋に書きそれを所定の台紙に貼り付けるよう指示がありました。講演のメモとしてはとてもユニークなやり方だと思います。

サンメンバーズの経営理念

 髙橋社長の自己紹介に続き、サンメンバーズ株式会社の事業内容に即して経営理念が語られました。最初の起業家は「困っている人を助けたい、喜んでもらいたい、ありがとうといわれたい」という思いから出発しているはず。だから、金儲けだけが目的である事業は「仕事じゃない!」と髙橋社長は断言します。これから就職先を選ぶ際には、人に喜んでもらいたい、誰かを幸せにしたいという思いのある会社なのかに着眼してもらいたいとも。

 「お客様の『困った』を『解決』することを事業化してきたし、これからも、新しい『困った』をビジネスとして『解決』していく」。髙橋社長を中心とするサンメンバーズの目標は「一人でも多くの方の幸せのお手伝い」に尽きるということです。

企業のもとめる人材

 学生たちのおそらく最大の関心でしょう。大企業の「求める人材」を端的に「自分の言葉で語れる人だ」と一括したうえで、髙橋社長は、J・F・Kennedy米大統領の有名な演説になぞらえてこう表現しました。

 「会社において、会社が自分に何をしてくれるかを考えるのではなく、自分が会社のために何が出来るかを考えて欲しい。会社で使われる駒や歯車になるのではなく、会社を動かす原動力になって欲しい」

 現実には「入社したら稼ぐことのできる人」「勇気と実行力のある人」をエントリーシートや面接を通じて発掘し、この学生は「頑張ってくれそう」「期待できそう」と感じれば内定を出すのだと言います。では、就職したい会社に「頑張ってくれそう」「期待できそう」と思ってもらうためには何が必要なのか? いよいよ講演のクライマックスです。

「頑張ってくれそう」「期待できそう」と思わせるためには?

 就職面接に来ている目の前の学生が「どんな人」か、会社はどうやって判断するのか?

 「あなたが発した『言葉』」「あなたがした『リアクション』」「あなたの『心のもちよう』」。これらから感じる「形に表せない印象やイメージ」を手がかりに決めるしかない、一月も一年もかけてその人のよさを見るようなことはできない。だから、訓練や経験が必要なのだと髙橋社長。

 訓練の方法としての「自分だったら」。「私だったらどうする?」を常に考える習慣をつけることが有効だといいます。たとえば「大学生就職人気ランキング」(2018年卒文系)の第1位はANA、2位はJTBグループ、6位は三井住友銀行、第10位は伊藤忠商事。志望の業界や業種を自己限定してしまわずに、「もしも自分がANA(JTB、伊藤忠)に入社すれば、会社のためにこんなことができるだろう」というシミュレーションを繰り返すことです。

 このシミュレーションは就職活動に限りません。人生のあらゆる場面で、有効な訓練方法だといえます。「将来自分があの役職や立場にたったら・・」自覚的に実践してみてください。

 次は「心・感情を伝える」ためには? 何よりも「本気度」が大事。「本気でやった人だけ採りますと言われたらどうする?」どうやって『本気』を伝えるか?まずは「感情丸出しの人間」を演じられることだと髙橋社長。そこで、急遽「感情丸出しじゃんけん大会」が開催されました。二人組になりジャンケンをし、勝ったほうは思いっきり喜び、負けたほうは思いっきり悔しがるという感情表出ゲームです。さらに、負けたほうは勝ったほうのいいところを褒めるというおまけ付きです。学生たちも乗り乗りです。このテンションを忘れないでもらいたいものです。

 「本気」を演出するためには「挨拶」「お辞儀」「座る場所」という形式的なことはもとより、面接時の質疑応答やエピソード等、あらゆる場面で、自分がもっている情報や資源を総動員しなければならないのです。

 「挨拶は誰よりも元気に」「お辞儀は誰よりも綺麗に(頭を下げたスピードの半分の速さで頭を上げる)」。座る場所。これが以外な場所です。参加者だけの秘密にしておきましょう。 

 「本気」はもちろん感情だけで表現されるものではありません。企業を本当に好きか(相思相愛になりうるかということ)、企業を調べて本当にいいところを発見しているか等も「本気度」を測る大切な基準です。

 企業研究は「いいところ探し」と心得、面接では、自分が感じた会社のいいところをハイテンションで口に出してみよう。しかも「絶好調、最高、絶対うまくいく、今一番幸せです」というプラス言葉で語ることが大事だといいます。急遽、企業か大学か自分のいずれかを褒める「いいところ発見大会」も行われました。

 面接時のエピソードについて。自慢話は厳禁。今までの人生で一番苦しかったこと、辛かったこと、たいへんだったこと。そのときにとったあなたのリアクションを語れと、髙橋社長。

 質問も大切です。しかし、知らないこと、知りたいことではなく、「相手が語りたいこと」を質問することが肝要だといいます。

 さらに、本気度を感じてもらうためには「どんな社長か」にこだわってください。「落とされてもいいです。一度社長に会わせてください。社長に会って、直接お話を聞いてみたいのです」というアピールも有効です。ここまで訴えられる度胸があれば、内定をとれる可能性はかなり高そうですね。

就活に挑む学生へ

  講演の最後に、髙橋社長は、間もなく就活をスタートさせる学生にさまざまな励ましのメッセージを語ってくれました。やりたいことがわからければ「自分が大切にしていることを書き出してみること」。「自分は何をしたいのか? 何を大切にしたいのか?」必ず見つかるはずだ。「自分を信じて明るく元気に」。

 「就活の目的は何ですか?」髙橋社長の最後の質問です。希望する会社から内定をgetすることは「手段」。では目的は? 何のために生き、何のために働くのか?「幸せになるため」以外にはない! だから、就活で最も大切なことは「あなたが明るく元気でいること」なのです。

 「時を守り、場を清め、礼を正すことを忘れずに、就職活動に挑んでください。いつでもみさんの力になります」。力強い言葉で締め括られました。

 髙橋社長の講演後、サンメンバーズ株式会社でウェディングプランナーとして活躍されている町田明日香さんから就職活動のアドバイスをいただきました。町田さんは本学文学部日本文学科の卒業生。在学中は女子ラクロス部でも活躍されていました。

 4年間の大学生活で何か一つこれだけは熱中したといえるものがあると思います。それは皆さんの大事な資源で、社会人になってから必ず活きてくると思います。何でもいいと思います。「自分の軸」をもって、就職活動を頑張ってください。

 

謝辞

 髙橋祐介社長には、国際関係学部の「企業と雇用」の趣旨をご理解いただき、「企業と雇用」1年間の締め括りにふさわしい有意義かつ実践的な講話をしていただきました。学生たちの就職活動を「本気モード」に転換する「やる気スイッチ」を力強く押していただいたように感じています。学生たちが目をキラキラさせながらかっきりと発言した「本気になりました」「目が覚めました」という感想が何よりの証拠です。

 ご多忙の折、サンメンバーズ株式会社の町田明日香様には、高橋社長とは違った目線から就活のアドバイスをいただくことができました。昨年度の「大学生のための県内企業魅力発見事業」以来、国際関係学部の「問題解決学入門」をご指導いただいている細田咲江先生にもご聴講いただきました。記して深く感謝の意を表します。