Asia education

大豆のアジア学 2008年度

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大豆のアジア学―今年度は開墾から 2008年4月26日

春もたけなわの頃、今年も大豆のアジア学が始まりました。4月26日の第1回畑作業の模様が届きましたので、早速お知らせします。
 

学校敷地内に畑!

昨年度まで使わせていただいていた鳩山町・高野倉地域にある国際関係学部の実験農場は、連作して土地が疲れたため休耕にせざるを得ません。そこで次なる畑はといえば、何と学校敷地内を開墾して新たに作ることに…。開墾作業から始まる授業とは前代未聞。今年の履修者はラッキーかもしれません。以下は現場の作業に関わった教員からのレポートです。
 

4月26日(土)の第1回作業日は、午後から小雨が降り始め、作業開始の午後3時頃にはやや雨脚も強まってきました。「中止ですよね?」の声もむなしく「えーっと、今年は土作りから始めるのでのんびりできない。雨は気にせずにやりましょう。」で作業開始。

ここはかつて桑畑だったとはいえ20数年放置されて篠竹が密生していたところ。機械力で造成して一見きれいに見えますが、表土は薄く、土塊と小石が混ざった状態にあります。土塊はしばらくやむを得ないとしても、石ころはどけないと耕耘機も入れられません。ひろった石を土嚢袋に詰め、畑の外周を固めて雑草の侵入を防ぎます。

石拾いは似合わないと思われていたデービッドも軽やかなステップで皆をリードします。その向こうで、最近お菓子を控えめにしているチェンチェンも袋のふくらみからするとよく働いています。今年は留学生が4名参加してくれました。
教員2名を除くと、どうやら今年の登録者は16名。昨年までは女子学生が大半でしたが、今年は開墾作業のため畑仕事が多くなるので忌避されました。大豆のアジア学では大豆料理や豆腐作り、味噌造りなどの調理実習も予定していますが、どうやら「男の料理教室」となりそう。新(珍)メニューの開拓が期待されます。今後も「クワや包丁の使い方まで教える大学」をアピールしていきたいです。次回は石拾い・肥料投入・耕耘で忙しくなります。
 

大豆のアジア学―開墾しても悔恨なし 2008年6月5日

大豆のアジア学では去る5月31日、鳩山町農村公園「まつぼっくり」内の調理室において、農作業の合間のお楽しみでもある調理実習を行いました。ようやく慣れた桑や鋤を包丁に持ち替えての実習です。

調理実習の度にお世話になっている、椿、蔦両講師の指導の下で、「ビビンバ」「白玉とうふ団子」「わかめスープ」の3品を調理しました。

以前にもお伝えした通り、本年度は女子学生の履修登録数が激減し、調理実習に一抹の不安を抱えていた大豆のアジア学でしたが、考えてみれば、包丁を持ったことのない学生が多いのは男女の区別無く同じです。とりたてて心配することもなかったのかもしれません。

その証拠に、「すごくおいしかった」とはN先生の談。どうやらお世辞抜きのようです。もちろん、指導して下さる講師の方々のお力添えあってのことですが、おいしい料理が食べられるとあれば、農作業も苦痛ではないはず。

ただ、フロンティアスピリットは畑の開墾作業にだけ向けて頂いて、調理実習には無難なメニューを選択するのがよろしいのではないかと。老婆心ながら。

大豆のアジア学―講義だってあります 2008年7月23日

大分更新が遅れましたが、去る6月21日に大豆のアジア学では講師に新井廣行氏をお招きして、今後の大豆栽培についての講義を行っていただきました。

その内容は、鳩山の大豆栽培の歴史に始まり、今後の実習の作業工程―耕運、畝作り、肥料、種まき、覆土、消毒、刈り取り、脱穀、選別―における注意事項等について細かく丁寧に説明していただきました。

また、配布された資料も、大豆の栽培管理、平成20年度大豆栽培基準(鳩山町大豆栽培組合資料)、そしてこれから栽培を行う2品種(サトウイラズ、アケボノ)の試験検査成績書など、およそ国際関係学部では目にすることの無い、専門的なものでした。

普段、政治だ宗教だ経済だといった資料や文献等にあたる学生にとっては、この講義が余程新鮮であったらしく、いつもより熱心に聞き入る様子も覗えました。実際に農作物の栽培に関わる人の言葉に、あるいは農業の科学に、何か得るものを感じたのかもしれません。

 

大豆のアジア学―豆播く人 2008年7月25日

6月28日、いよいよ播種ですが、大豆を地面にそのまま播けばよいというものではありませんので、何はともあれ畝(うね)を作らなくてはなりません。しかし、畝を作るには鋤や鍬が上手く使えなくてはどうにもなりませんので、まずは農具の使い方から教わります。新井廣行さんと根岸正樹さんを講師に迎えて、両講師より農具の説明を受けました。

畝の出来上がりが直線になるよう目印の水糸を張り、水糸に沿って鍬を入れていきます。体は水糸に向かって常に正面を向くようにし、鍬は糸に対して平行に入れて手前に引き、土を乗せます。この土が同じ高さに揃うようになれば「畑を作っている」ことになり、凸凹していれば「土を掘り返している」だけです。案外厳しいです。

畝ができたら、肥料を混ぜます。そして大豆には病虫害防止のため、予め種子消毒を実施します。これで播種の準備ができましたので、総出で大豆を播いていきます。

大豆のアジア学―調理実習(第2回) 2008年7月25日

7月12日、鳩山町農村公園「まつぼっくり」内の調理室において、第2回調理実習を行いました。今回のメニューは、「ポークビーンズ」「ゆで大豆のサラダ」「黒大豆ご飯」「豆腐ババロア」の4品です。今回も講師には、椿さん、蔦さんのお二方にお越しいただいて、ご指導をいただきました。毎回のことながら、バランスの取れた献立はプロならではのものと感心させられます。

あいにく、写真には豆腐ババロアが写っていないのですが、最もお味の気になるメニューなのでは?

ここにレシピを紹介できないのが残念ですが、通常のババロアのレシピに豆腐+αと思っていただければ想像に難くないでしょう。ちゃんと豆腐の味がします。

さて、肝心の実習の成果ですが、二回目にして包丁を持つ手つきが変ってきました。本人達は気づいていないかもしれませんが、写真を見ると明らかです。

大豆のアジア学―さつまいもの試し掘り 2008年9月27日

大豆のアジア学では、大豆畑の一画を利用して落花生とさつまいもも栽培しているのですが、今回は除草のついでに、さつまいもが順調に育っているか試しに掘ってみました。

除草作業に比べると、遥かに楽しい芋掘り。今回ばかりは学生の顔が活き活きしています。これまでの苦労が報われる嬉しい瞬間でもありますが、それ以上に、地中に埋まっているさつまいもを掘り出すときの興奮に頬を赤らめていたようです。どういうわけか、芋を掘るのは楽しく、自然と笑みがこぼれます。

そのあまりの楽しさに、学生達はまだ掘り足りない様子でしたが、今回はあくまでも試し掘りですので我慢してもらいました。本格的に掘り出すのは今月中旬を予定しています。

芋掘りの後は勿論…。楽しみですね。
 

大豆のアジア学―調理実習(大豆とさつまいも) 2008年10月7日

去る10月4日、大豆のアジア学では、鳩山町農村公園「まつぼっくり」内の調理室で調理実習を行いました。今回は、学生の栽培した大豆とさつまいもを使用しての調理実習になりました。

メニューは、がんもどき、豆腐と枝豆のくず煮、枝豆ご飯、さつまいものレーズン煮、大学いもの5品。見事に大豆といもです。見ているだけでお腹一杯になりそうな、ボリュームのある組み合わせですが、そこは豆といもですからヘルシーなのではないかと思われます(カロリー等気になる方は、文部科学省の食品成分データベース http://fooddb.jp/ で調べてみてはどうでしょう)。これだけ毎回大豆を中心にメニューが組み立てられるのは、まさにプロの技。毎回のことながら、ご指導いただいている椿、蔦両講師の手腕には敬服します。

さて、今回で調理実習も3回目、当初は危うかった男子学生の調理する手つきも、今や堂に入ったものです。成長著しく、まさに男子三日会わざれば刮目して見よ、ですね。

大豆のアジア学―国際関係学部謹製みそで作るとん汁 2008年11月18日

去る11月15日、鳩山町農村公園「まつぼっくり」内の調理室で、調理実習を行いました。今回はなんと、今年の1月26日に仕込んだ味噌が出来上がりました。国際関係学部で味噌?前代未聞ではないかと思います。

さて、みその仕込みについては昨年の記録を見ていただくとして、今回の実習では、その国際関係学部謹製みそを使って「とん汁」を作りました。手作り味噌で作るとん汁のお味やいかに?もちろん、とん汁だけでは男子学生の腹は満たされませんから、おにぎりつきです。

これまでは、数品作ったり、手数の多い料理だったりしましたが、それらに比べればとん汁は至ってシンプルです。シンプルなだけに手が抜けません。

とん汁は誰もが口にしたことのある料理ですから、誤魔化しがききません。それに、せっかくの手作り味噌の香りを逃がさないように、沸騰させないよう気をつかいました。

今回も、調理指導には椿、蔦両講師を仰ぎました。お蔭様で、手作り味噌の風味豊かなとん汁になりました。決して豪華な料理ではありませんが、他では味わうことのできない贅沢な一品になりました。

大豆のアジア学―調理実習 2008年12月13日

大豆のアジア学では、12月13日に調理実習を行いました。実習場所はいつもの通り、鳩山町農村公園内施設「まつぼっくり」の調理室です。今回のメニューは次の通りです。

1.生揚げと大豆の辛み炒め
2.豆サラダ
3.呉汁(ごじる)
4.米粉と豆腐のカップケーキ

ひょっとすると呉汁には馴染みのない方もいらっしゃるのではないかと思います。大豆をすりつぶしたものを「呉(ご)」といい、それを味噌汁に仕立てたものなので「呉汁」というようです。一口飲めば体が喜ぶような滋味を十分に堪能しました。ちなみに、味付けには前回紹介した国際関係学部謹製の特製味噌を使用しました。ちょうどよい塩加減で好評です。

今回はミキサーを使って一晩水に戻した大豆を砕きましたが、ちょっと面倒でもすり鉢ですりつぶした方が大豆の豊かな香りをより一層楽しむことができます。まめな方や豆好きな方にはおすすめの豆知識です。

生揚げと大豆の辛み炒めは、テンメンジャン・豆板醤で味付けした中華風の一品です。干しエビなども入って風味豊かでご飯がすすみます。カップケーキは、ほのかに大豆の漂う素朴なお味のデザートに仕上がりました。バターや生クリームなどを使用していないため、しつこくなくていくつでも食べられそうです。

今回も椿、蔦両講師にご指導いただきました。毎回のことながら、豆中心に見事な献立を組んで頂いて感謝しています。

大豆のアジア学―調理実習(豆腐) 2009年1月23日

大豆のアジア学では椿、蔦両講師の指導を仰ぎ、1月23日に調理実習を行いました。今回は収穫した大豆で豆腐を作りました。さらに、その豆腐を使って豆腐鍋も調理しました。

単に豆腐を作るだけではなく、サトウイラズのみで作った豆腐と、アケボノのみで作った豆腐の味を比較するという試みも行いました。すると、一般的には甘い品種とされているサトウイラズで作った豆腐よりも、アケボノで作った豆腐の方が甘いという意外な結果になりました。とはいえ、今回は科学的な分析に基づいたものではなく、あくまでも味覚でそう判断されただけですので、この結果を元に定説を覆したなどと考えるわけにはいきません。偶然垣間見た一局面から全体を判断してはいけない―そのような訓戒の一方で、実際の作業に関わると、時にこのような想定外の状況に陥ることがあるということを身をもって体験でき、今回は実学としても非常に実りの多い調理実習となりました。

さて、肝心の豆腐の出来ですが、市販品とは違って形は多少いびつではあるものの、味も香りも格別でした。豆腐鍋は味噌仕立てで、新鮮な豆腐の香りをまろやかな味噌の香りが包みます。豆腐も味噌も同じ畑で収穫された大豆からできたものですから、その相性は抜群です。

大豆のアジア学―味噌仕込み 2009年1月27日

大豆のアジア学では、昨年度同様、本年度も味噌を仕込みました。自らの手で仕込んだ味噌が美味しいということを、自らの舌で十分知ってしまったためか、昨年以上に熱心に取り組む学生の姿も見られました。本年度は昨年度の経験も踏まえて、より美味しい味噌を作るべく奮闘しました。

今年度は、サトウイラズ50kgを使って味噌にします。

味噌は熟成のためにひと夏を経なくてはならないので、仕込んだ味噌は「まつぼっくり」の味噌部屋に置き、11月頃、学生に配分する予定です。味噌仕込みは大豆のアジア学の最終講義として、あるいは重要なシメ作業として長く続けられることを願います。先輩が後輩のために仕込む味噌、受け継がれる味と技術…いい話です。

味噌を仕込んだ後は、ちらし寿司と「大豆のモンブラン」を作って試食。本年度の大豆のアジア学は無事に終わりました。