Asia education

「大豆のアジア学」の「ふるさと支援隊」第二回農業実習が行われました(7月31日)

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発芽後の「大事件」

7月4日、大雨の中で播いた三種類の大豆は、無事に発芽し概ね順調に双葉を出しはじめました。ところが・・・。

左側の五畝は、きれいに生え揃った青山在来です。青山在来に較べて株間が大きく空いている右側の畝をご覧ください。宇宙大豆の畝です。もちろん、宇宙大豆が発芽しなかったわけではありません。夜の闖入者の仕業です。発芽して双葉になったところを、野うさぎに食べられてしまったようです。この「大事件」を学生たちに知らせると、学生たちは、すかさず「ピーターラビットの仕業に違いありません!」と断定(ちなみに、ピーターラビットは本学のマスコットキャラクターです。)それにしても、なぜ「宇宙大豆」だけが狙われたのでしょうか? 匂いが違う? 歯ごたえが違う? 諸説紛々ですが、うさぎのみぞ知るといったところでしょうか。

根岸正樹氏による迅速な鳥獣対策(ナイトガードと防獣ネットの設置)のお陰で、なんとか被害を最小限に止めることができました。連日の炎天下、大豆は、順調に成長しています。

第二回実習レポート

7月31日、第二回目の「ふるさと支援隊」実習を行いました。最高気温37度という酷暑日。熱中症予防に配慮して作業を夕方にしてはみたものの、午後4時になっても気温が下がる気配はありません。食物をつくることのきびしさを、ほんのちょっとですが身をもって知ることができ、たいへん貴重な実習となりました。

根岸氏による作業の説明

管理機による中耕

本日の作業は「中耕・培土」。花之木営農組合の根岸正樹氏による「中耕・培土」の説明からはじまりました。「中耕・培土」は古くから大豆生産にとって不可欠の技術とされています。中耕は、除草を目的に畝間を耕す作業。培土とは、茎下部に畝の左右から土を寄せて覆う作業で、倒伏の防止が目的です。(中耕・培土の有効性に関しては農林水産省のHPを参照)。畝間に目立ちはじめた雑草を、大きな草だけを抜いて、後は「中耕」により埋めていきます。「中耕」は管理機で行います。本プロジェクトの三本柱の一つが「高齢者にもできる大豆栽培」。高齢者にとって負担の大きい除草作業を、管理機を入れて簡単に行えるように畝と畝の間隔を150cmにしたわけです。管理機による中耕は忽ちにして終了。早くも「畝間150cm」の効果が発揮されました。

培土

中耕の後は、培土作業。「培土」には鍬を使います。播種のための畝切りではじめて鍬をもった学生たち。三週間前の感触を覚えているでしょうか? 持ち手が少々怪しげな学生も、船橋氏の「円(弧)を描くように」という声がけに助けられながら「まっすぐに伸びよ!」との思いを込めて丁寧に土を寄せていきました。

今回は、船橋春雄氏による『鍬学』ミニ講座がありました。5種類の鍬について、刃床部や柄角(刃床部と柄の角度)の違いに着眼、製造された時期や用途の違いについて説明していただきました。鍬に凝縮された先人の知恵を垣間見た気がします。農具の中の農具といってもよい「鍬」。生活文化の歴史の一齣としてもなかなか興味深いテーマです。

5種類の鍬

船橋氏による鍬講座

中耕と培土を施した大豆畑。雑草もすっかり消え、しっかりと土に支えられた大豆は背筋をピンと伸ばしているように見えます。酷暑と台風、害虫そして夜の闖入者。これからもけっして油断はできませんが、お盆過ぎには小さな花をつけ、稲刈りの頃には枝豆をたわわに実らせてくれることでしょう。10月中旬には、地元の小学生を招いての「枝豆収穫体験」を予定しています。ふるさと支援隊の学生たちは、実りの秋を心待ちにしながら、この夏休みに加工品の開発を本格化させることになります。

雑草の目立つ畑

中耕・培土を施された畝

今回も、学生数を上回る熱心な「応援団」の方々にご支援いただいました。東松山農林振興センターの吉本理恵氏と野﨑洋平氏、鳩山町産業振興課の清水儀行氏と政策財政課の黒田祐介氏には、前回同様、「ふるさと支援隊」の一員として大いに奮闘していただきました。
さらに、今回は、JA埼玉中央営業部の嶋田幸二氏と、埼玉県農林部農業ビジネス支援課で「ふるさと支援隊」を担当する三谷航平氏にもお越しいただきました。「ふるさと支援隊」の環が少しずつ広がっているのを感じます。ありがとうございました。