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国際関係学科国際文化学科

2014年度現地研修報告―モロッコ(アラビア語)

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 2013年のアラビア語の現地研修はエジプト内乱の影響で行けませんでしたが、今年度、2・3年生合同でモロッコへ行ってきました。参加者は2年生7名、3年生10名、教員1名の計18名です。
 日程は8月22日~9月12日の3週間でした。はじめの2週間は首都のラバトでカラム・ワ・ラウハ学校(ペンと板、Qalam wa Lawh Arabic Language Center)に通い、残りの1週間は世界最古の迷宮都市フェズとモロッコ最大都市で商業・金融の中心地カサブランカを観光しました。

語学学校―ラバト市(モロッコの首都) 

カラム・ワ・ラウハ語学学校

 月曜から金曜は学校へ。マリヤム先生(女性)とアシュラフ先生(男性)の2クラスに分かれて受講しました。マリヤム先生のクラスはアラビア語だけを用いるため授業を受けるのが大変だったようです。対してアシュラフ先生の方は、英語とアラビア語で分かるまでじっくり教えてくれ、楽しい授業でした。

モロッコ料理

 お昼は食堂へ行って自分で注文するのですが、これが大変でした。名前と料理名を言ってレシートをもらった後、自分の名前が呼ばれるまで待つのですが、名前が呼ばれない(あるいは名前が間違っていた)、違うものが出てきた、と料理を受け取るまでにとても苦労しました。慣れてくると、相手が聞き取りやすいようにあだ名を使ったりとあれこれ工夫もしました。でも、料理はとても美味しかったです!

 カリキュラムにはモロッコの文化にふれ合うアクティビティの時間も組まれており、週3回ほどのペースで学内外のアクティビティを行いました。霊廟やタワー見学へ行ったり、アラビア書道を習ったり、動物園へ行ったり・・・。その内、学校長の伝で、特別にモロッコのJICA事務局への訪問する機会もあり、授業だけでなく日本とモロッコ間の政治や関わりなどにも触れることができ、とてもよい勉強になりました。

▲JAICA モロッコ事務所を訪問

 卒業式は宴会騒ぎで、皆で踊ったり歌ったりと、モロッコらしく賑やかに行われました。

市内観光

初日の市内探索 両替屋を探して歩き回りました

 宿泊先はヤスミンホテル(Hotel Jasmine)。茶色いお湯が出たり、洗濯物を干すところがなかったりする以外はそれほど問題もなく、一番良かったと思えます。

 放課後や休日の土日には、市内のメディナ(旧市街)やウダイヤのカスバ(城塞)、ムハンマド5世廟、シェラ(古代ローマ時代の遺跡)などを観光しました。首都ラバト市は交通の便もしっかりしており、移動にはタクシーかトラムを利用しました。メディナでの散策は最初、値切らずそのままの値段で買ったり、怪しげなガイドに捕まったりと色々ありましたが、慣れてくると、値切ることが当たり前になったり、勝手に案内をはじめそうなガイドを上手くかわしたりすることができるようになっていました。それでも、何があるかわからないので、慢心はしないようにはしていました。

 川を挟んで向かい側には、サレという都市があり、そちらへも散策に出かけました。広い砂浜があり、親子連れやカップルなどでとても賑わっていました。土日を使って、カサブランカまで行った人たちもいるようで、計画の立て方次第でより有意義な滞在になると思います。

フェズ観光

フェズの駅舎

 




 フェズはモロッコの思想、宗教、芸術文化の中心地です。旧市街(フェズ・エル・バリとフェズ・エル・ジェディド)は世界文化遺産に登録されています。
 まず、駅がとても綺麗で驚きました。シンプルですが、アラベスク模様が様々な所に使われていて、モスクや教会といった雰囲気でした。

 フェズで滞在したバトハホテル(Hotel Batha)はフェズ・エル・バリ(旧市街)の入り口付近に位置しており、徒歩圏内にレストランや土産物屋さんがあるなど、人であふれかえっていました。ホテル内は地中海風で風通しが良く、部屋はタイル張りで、クーラーはありませんでしたがとても快適に過ごせました。

 ホテルの横には19世紀に宮殿であったダール・バトハ博物館があり、古いコーラン(クルアーン)の装飾写本や陶器、ベルベル人の装飾品などが展示されていました。しかし、感動したのは中庭です。ムーア様式の庭園らしいのですが、日本庭園とイギリス式庭園の特徴を合わせたような、綺麗で安心する造りでした。通路も日本や中国の回廊のようで、一瞬モロッコにいることを忘れました。

 フェズ・エル・バリには、タラア・ケビラ(大きな通り)とタラア・セギーラ(小さな通り)という2つの主要道路があり、カラウィン・モスクへと延びています。迷路と言われる旧市街ですが、この通りから外れなければ、迷うことはありませんでした。しかし、5度程の傾斜があるため、下るのは良くても上るのが大変でした。

カサブランカ

 街並みはフランス領時代の名残で、中世ヨーロッパ風の白壁の建物が立ち並んでしました。中世や映画の中に飛び込んだような印象を受けました。ラバトで銀色であったトラムが、ここでは赤と黒で、白い街並みに合っていました。

 海がすぐ側にあるため、魚のフライがよく食べられているようです。しかし、味付けが塩やレモンのみで、味がないように感じました。少し高めのレストランでは、味もしっかりしていて美味しく、日本人の口にも合うモロッコ料理が多くありました。

 モロッコ最大の都市カサブランカには、モロッコ最大のモスク、ハッサン2世モスクがあります。ミナレット(礼拝の時が告げられる塔)の高さが200mもあり、前国王ハッサン2世の発案により、1986年から8年間かけて造られました。
 一般人(ムスリム以外)も、入場料が高い(120DH、国際学生証があれば半額)ですが、モスク内を観光できるようになっていて、言語ごとにガイドさんが付いています。英訳ガイドさんに付いて回りました。身体を清める泉や浴場、神学校、図書館、博物館、カフェなどが併設されているらしいですが、どれが神学校や図書館なのか見当がつきませんでした。観光客が多いためか、礼拝に来ている人も少なかったです。

 モスクの天井は高く、内装は非常に美しく荘厳でした。内部では2万5000人、敷地内では8万人が一度に礼拝できるほど広大な敷地でした。
 ちょうど昼過ぎだったので、薄暗い礼拝堂内にガラスの窓から光が入ってきていて、その青い光とシャンデリアのオレンジの光でより神聖な空間になっていました。
 泉や浴場も地下にあり、このモスクで礼拝前のすべての準備を整えることができるようになっています。

おわりに

 約3週間モロッコで過ごし、アラビア語とモロッコについて学びました。モロッコでは、英語よりもフランス語の使用が多く、よりアラビア語を使いこなせるようにしなければと必死にもなりましたが、モロッコの人々は優しく、拙い言葉やジェスチャーなどでも意味を汲み取ってくれました。だからこそ、もっと彼らと会話をしたい、関わりたいと授業に身を入れ、スーク(市場)へも毎日通いました。
 モロッコへ行く前は、モロッコの人々がどういう人々であるか全く知りませんでしたが、彼らと話すことで、心優しく親切で温かみのある人々であると知ることができました。そして、彼らを知ることで彼らとその国を大好きになりました。
今回の現地研修で、人を知るために言語を理解することが大切であるということを学びました。大変だったことや危ないことも無かったとは言えませんが、とても楽しい研修だったと心から言えます。また、モロッコに行きたいです!

★写真コンテスト入賞!
今回の現地研修に参加した2年生の峯絵里佳さんが、写真コンテストで大賞・優秀賞・佳作の全てを受賞し、第17回アジア言語スピーチコンテストの舞台上で表彰されました。


(左:田辺清教授、右:峯さん)

 文章: 3年 小山田汐帆