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国際関係学科国際文化学科

押川典昭名誉教授が、毎日出版文化賞を受賞されました。

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 本学名誉教授の押川典昭先生が、『プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代』の刊行により、出版社の「めこん」とともに、毎日出版文化賞特別賞を受賞されました。毎日出版文化賞は、優れた出版物や出版活動を顕彰することを目的に1947年に創設された国内有数の権威ある表彰の一つです。

 『プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代』は、上下二巻で1100頁を超える大著であり、世界初の本格的なプラムディヤの評伝です。

 選考委員の一人は「この大部の評伝は生き生きと人物像を描きながら、時代背景も大胆に取り込み、現代史の壮大なパノラマを織り成している」と評しています(2025年11月3日付『毎日新聞』)。

 押川典昭先生は、2007年度に、プラムディヤの「人間の大地」四部作(『人間の大地』、『すべての民族の子』、『足跡』、『ガラスの家』)を翻訳した業績により第59回讀賣文学賞(研究・翻訳賞)を受賞されています。

 長年にわたって国際関係学部でインドネシア語教育や東南アジア文化研究にご尽力された押川先生のご受賞は、学部にとってもたいへん名誉なことであり、心より祝意を表したいと思います。

 最後に、この大部の評伝への導きの糸として、上下巻の帯紙に躍る小説家の池澤夏樹氏の言葉(本の写真を参照)を記しておきたいと思います。

 「一人の作家の伝記がそのまま一国の歴史に重なる。反体制派であった作家の視点と権力者のふるまいは対立するから、この本には弁証法的な奥行きが生じて真の歴史となった。投獄に耐えて書き継がれた彼の作品群には国の歩みの証言でもある」(上巻)。

 「プラムディヤが流刑先であの大河小説『ブル島四部作』を書いたという伝説がある。その詳細をこの本で知ることができた。やはり偉大な人物であったと感動する。それと同時に、本国にもまだない細密な伝記が日本人の手で書かれたことにも感動する」(下巻)。