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「大学生のための県内企業魅力発見事業」報告・問題解決学入門(3)

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 「問題解決学入門」(キャリア特殊講義)は、細田咲江先生の指導の下で、40名の1年生が、二つの企業の経営課題に取り組む授業」。後半セッション(Project B)報告の2回目は、第一次提案(中間提案)のようすをレポートします。

第一次提案(中間報告) 7月1日

 「提案された事業がよいものであれば、お金を借りてでも実現します。本気です!」。課題出し直後の永島社長の言葉です。課題出しから2週間後の7月1日、東松山校舎2号館207教室において、株式会社アドバンスサービスへの中間報告が行われました。

 永島社長から提起された「Mission」を確認しておきましょう。

 

 あなたは、アドバンスサービスの新規事業プロジェクトメンバーに選出されました。今後の社会情勢を考慮して、ビルメン事業部・家事代行事業部に加え、新しく3本目の柱となる新規事業を考え、提案せよ。

 中間報告とはいえ、スーツ姿が目立ちます。気合は十分のようです。永島社長の期待に応えられるかどうか。トップバッターは「Team Suger less」。高齢者世帯を対象に「出張パソコン教室」「NET何でも屋」を展開する「NET事業部」が提案されました。「S」(Selling Message)は「みんなでNET生活」。永島社長の批評はこうです。「高齢者をターゲットにした点は評価できる。しかし、なぜパソコンなのか? 根拠が不明確。これでは『社員の人柄』という強みが生かせないし、PCは大手企業にもできる事業。完全に『軸』がずれている。発表に元気がない」。

 「Team Country」の提案は「介護サービス」。家事代行事業とビルメン事業とのシナジー効果を強調しました。ところが、永島社長は「BASiCSの『C(Customer)』をもっと絞るべき。具体性がなく3年で軌道に乗る気がしない。すぐに潰れますね。やっつけBASiCSで大雑把すぎる」とにべもない。介護は国の下請け事業で、むしろ大企業の主戦場。チームワークはよさそうに見えるので、もっと中小企業の特性を生かせる事業を再検討してもらいたいとも。

 「Team Metropolitan」は「フレッシュな食材と笑顔をあなたの元へお届けします」を「S」に「商品カタログ」による「宅配サービス」事業を提案しました。講評は以下の通り。着眼点は悪くなく、提案も具体的だ。しかし、宅配で「密着」を高めるのは困難。カタログ作成にもコストが嵩む。3年で軌道に乗るかどうか? 割引クーポンは「手軽軸」であり、中小企業とは逆の発想なので改めるべき。

 「Team Sunflowers」は「S」を「大切な人の命を守るサービス」とし「地震対策事業部」を提案しました。しかし、社員の人柄や女性が多いという強みが活かせないし、「鉄砲玉産業」にならない。「密着軸」ではないが「商品軸」でもない。具体性に欠ける。まだまだ甘い! 100点満点で『5点』というきびしい批評が。

 「Team ボーダー姿勢」は、家事代行事業とのシナジー効果を根拠に「ベッドメイキング」を提案。永島社長からは「女性や人柄という強みをどうやって反映するのか」という質問がなされました。

 「Team BIG6」は「すべての家庭に安心と夢を」を「S」に、「ベビーシッター事業」を提案。永島社長からは「具体性があり、料金設定も悪くない。有資格者のリクルートが課題」と。全般的にストーリーはよいが「命にかかわる仕事はしない」というそもそもの条件を想起してもらいたい。「最終提案では、事業を変えて提案すること」と、厳しい指示が出されました。

 

永島社長による全体講評

 「人は感情でものを買う」。だから「感情に訴えかけるメッセージ」を考えなければならない。「Mission」中の「社会情勢を考慮して」という文言にもこだわってもらいたい。「高齢化」「女性」「美容」「健康志向」「男女共同参画」「ワークライフバランス」等、社会情勢の変化をキーワードで摑み、それを睨んだ「付加価値」の創出に智恵を絞ってもらいたい。「誰かの意見に無責任に乗るのではなく、一人一人が試されているという緊張感をもって、チームの中でそれぞれがもっと自分を発揮してもらいたい」。「いい提案があれば実行する。アドバンスサービスに就職すれば、提案事業を担当する課長からスタートさせる」。中間報告は、永島社長の力強い言葉で締め括られました。

 

最終提案に向かって 7月8日

 「永島社長から、あれだけの批評とヒントをもらって何もできないというのでは、あまりにも情けない! 最終提案では、永島社長を唸らせるようなアイディアを提案してみてください」。細田先生の檄が飛びます。

最終提案は、7月15日。二週間で、永島社長から突きつけられた課題をクリアしなければなりません。白紙の状態からの仕切り直しを強いられているチームもあります。学生たちの必死の取り組みが続きます。

 一次提案(中間報告会)には、(株)アドバンスサービス千葉支店の高橋春奈支店長、埼玉県産業労働部就業支援課の石井悠史主査、埼玉中小企業同友会事務局の田ノ上哲美主任にご参加いただき、有益なコメントを頂戴することができました。ありがとうございました。