2025年度学位記授与式が3月23日、東京都千代田区有楽町の東京国際フォーラム・ホールAで挙行された。
卒業者・修了者総数は2,427人。学士課程2,372人(文学部493人、経済学部311人、外国語学部259人、法学部334人、国際関係学部150人、経営学部340人、スポーツ・健康科学部315人、社会学部170人)、博士課程前期課程・修士課程55人。

学長告辞・高橋進学長

春のやわらかな日差しの中で、木々が新しい芽吹きを迎えるこの佳き日に、大東文化大学を卒業される各学部の皆さん、そして大学院を修了される皆さんを本式典にお迎えできますことを、大変うれしく思います。本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。
また、ご列席の保護者の皆様、ならびに教職員の皆様にも、深く感謝と祝意を申し上げます。
まず保護者の皆様におかれましては、日々の温かいご支援と深い愛情をもって学生たちを今日の門出へと導いてくださいました。その支えは、卒業生一人ひとりにとって何ものにも代えがたい力であり、その成長を陰で見守ってこられた皆様に、改めて心より敬意と感謝を表します。
そして教職員の皆様。皆様の熱意あるご指導と励ましが、学生たちの学びを豊かなものとし、その成長を力強く後押ししてくださいました。日々の教育・研究活動に注がれた努力と情熱が、本日の晴れやかな成果につながっていることに、深く御礼申し上げます。
本日は、大学・大学院での学びを終える卒業式、すなわち人生の新たな世界へ踏み出す「門出の儀式」です。しかし、これから皆さんが歩む道の中で出会う数々の学びこそが、皆さんをさらに大きく成長させることを私は確信しています。卒業式を「終わり」ではなく「新たなスタート」として捉え、ここであらためて、これからの“学び”について少しお話しいたします。
皆さんもよく知るレオナルド・ダ・ヴィンチ。1452年、ヴィンチ村に生まれ、「芸術・科学・工学など多分野にわたる“万能の天才”」として名を残した人物です。「芸術家」「科学者」「技術者」「思想家」と、常に境界を越えて探究した彼の姿勢は、学際的な知の統合が求められる現代社会において、大学教育の理念とも深く響き合っています。
しかし、ダ・ヴィンチは当時の標準的な学校教育を受けず、徒弟制度と自己学習によって知識を身につけたとされています。観察・実験・自己探究を基盤にした、まさに“自己主導型の学び”を徹底したのです。
彼の残した言葉には、皆さんのこれからの社会生活にもつながる示唆が多くあります。そのいくつかをご紹介します。
「知識は経験の娘である。」
机上の学びだけでなく、観察・実践・試行錯誤を通してこそ、知識は真に血肉化されます。これから皆さんは社会の現場に立ち、様々な経験を積むことで、この言葉の意味をより深く実感するでしょう。
「学ぶことを恐れるな。」
生涯学習の重要性を端的に示した言葉です。学ぶことは心を疲れさせず、むしろエネルギーを与えてくれます。
「障害に決して屈することはない。」
困難に直面した時こそ、学び続けることで逆境を乗り越えよという、若者への力強い励ましです。
「シンプルさこそ究極の洗練である。」
複雑な問題に立ち向かう時こそ、本質を見極め、根源的な問いに立ち返ることの重要性を説いています。
これらの言葉が示すように、皆さんがこれから目指す学びとは、分野の壁を越えて真理を追究し、実践の中で知を深める姿勢そのものです。
そして、現代を象徴するアスリートであり、皆さんにも身近なロールモデルであるのが、メジャーリーガーの 大谷翔平選手です。彼の歩みもまた、自己成長への飽くなき探究であり、現代の“学び続ける姿勢”の体現ともいえるでしょう。彼の言葉には、卒業を迎える皆さんに向けた重要な示唆が数多くあります。
「進むスピードが遅くても、止まらなければ成長です。」
周囲と比べる必要はありません。一歩ずつ進むことが、必ず未来の自分を形づくります。
球速160km達成に向けて「ずっと目標にし、それをチームメイトに伝えたり、紙に書いたりしていた。」
これから描く夢を、どうか言葉にし、人に伝えてください。その瞬間から、皆さんの人生は目標に向けて動き始めます。
「努力は必ず報われるわけではない。でも、成功した人は必ず努力している。」
努力は、未来の自分への投資です。結果がすぐに見えなくても、積み重ねた時間は皆さんを裏切りません。
「完璧を求めません。昨日より1つ良くなれば十分です。」
他者ではなく、自分自身との勝負。小さな成長を積み重ねることで、必ず大きな飛躍へとつながります。
これらの言葉は、スポーツという分野を超え、学び・研究・仕事・人間関係、あらゆる場面で皆さんの背中を押してくれるでしょう。
今日の卒業に至った歩みこそ、この言葉の体現です。これから続く学びもまた、皆さんをより大きく成長させる糧となるでしょう。
どうか歩みを止めず、目の前の一歩を大切にしてください。その継続の力が、新たな舞台で皆さんを確実に支えるはずです。どうか、ここから始まる社会人としての歩みの中で、「今日の自分が、昨日の自分を超える」そのような日々を重ねていってください。
最後になりますが、皆さんの成長に寄り添い、常に皆さんを第一に考えて支えてこられた方々の存在を、あらためて胸に刻んでください。ご家族、先生方、仲間たち…。皆さんに注がれた愛情は、比類なきものであり、人生を支える「永劫の愛」と呼べるものです。その愛に報いるためにも、社会の中で自らの役割を見出し、力強く歩んでください。
いま、皆さんは、それぞれが培ってきた力を胸に、新たな航路へと船出する時を迎えています。予測不能な社会には、時に穏やかな風もあれば、荒れ狂う嵐もあるでしょう。しかし、そのすべてを受け止め、未来へ進んでいくのは、皆さん自身です。どうか恐れず、勇気をもって新しい航路を切り開いてください。
皆さんの前途が光に満ち、力強く未来へ進んでいかれることを、心より祈念いたします。皆さんの門出に、最大のエールを送り、告辞といたします。
理事長祝辞・石井淳子理事長

卒業生の皆様、本日はご卒業、誠におめでとうございます。
ご臨席の保護者の皆様には心からのお祝いを申し上げます。また、卒業生が今日ここに至るまで支えてくださったすべての方に御礼を申し上げます。
今、ここで会場を見渡しますと皆様は本当に晴れやかな良いお顔をされておられます。今日ここに至るまで様々なことがあったことと思いますが、ここで学んだこと、ここで出会ったこと、ここでの経験は、今後の皆様にとり大きな力になっているはずです。どうか新たな世界に向けて自信をもって一歩を踏み出してください。皆様はこれまで学生という立場でしたが、これからは一人の大人として社会の一員として社会を支え、また未来に向けて社会を作っていく立場になるものです。存分に力を発揮され、大いにご活躍くださいますよう願っております。
さて、皆様はこれからそれぞれの道を歩んでいかれることになりますが、その門出にあたり、3つのことを申し上げたいと思います。
まず1つ目です。今、社会は様々な変化の中にあります。国際情勢は日々刻々と変わり不安なこともあります。見えないこともありますが、少子化、デジタル化、グローバル化、価値観の多様化のように、現に今現れているものもあります。皆さんはこの先も様々な変化の波に遭遇することでしょう。でも皆さんには、それらの変化にしなやかに対応する存在であってほしい、変化への対応力をこれからさらに磨いていただきたいと思います。よく知られた言葉に「最も強い者が生き残るのではなく、最も知性の高い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化に最もよく適応できる者である。」
地球上の生物の盛衰を見ると、ああなるほどと思わずにはいられません。そこで、どうしたら変化に適応できる力を高められるかですが、その方法は一つではないと思います。例えば、固定観念を持たない、好奇心を持つ等日頃から変化になじみ、自分とは異なる考えや環境に親しみ、違いを受け入れることやそうした姿勢が大切だと思います。少なくとも新たなことに挑むことは変化を起こすことです。具体的な行動として変化の中に身をおき、様々な経験をすることには大きな意味や意義があると思います。逆に今まで通りのことを漠然と続ける、考えることもしないというのでは変化から取り残されていくことになるでしょう。
そこで二つ目です。一つ目に申し上げたこととかなり重なる部分がありますが、改めて皆さんには挑戦することをいとわないでいただきたいと思います。
私が以前勤務していた職場の上司が言っていたことをご紹介します。
ここに3人の人がいたとします。仮にAさん、Bさん、Cさん、とします。3人にある難しいミッション、タスクを与えられました。Aさんはそれに挑戦をしてうまく成し遂げました。Bさんは挑戦をしたものの、結果としてうまくいかず失敗してしまいました。Cさんは難しいからと挑戦はしなかったので失敗は免れました。
もし皆さんがそうした場に置かれたら、どうされますでしょうか?
失敗するかもしれない難しいことについてはやらずに済めば無難という考えもあるかもしれません。また、結果だけを見れば失敗した人が一番残念なのかもしれません。私の職場の上司はCさんのような選択はしないでほしい,と言いました。
漠然とこのような問いを投げかけられても、とお思いになる方もいることでしょう。確かに挑戦する内容によるかもしれません。また、挑戦する前に基礎的な部分を固めておくことが前提になることでしょう。ただ、これから生きていく長い人生において様々なことに挑戦するという姿勢は持ち続けていただきたいと思います。仮に失敗しても、失敗から学んだ人は敗者ではなく、次の勝者予備軍になるはずです。失敗をしてしまったら、どこがいけなかったのか、何が足りなかったのか考えることになると思います。ある部分の準備や情報収集が足りなかったということが明らかになれば、次はそのことが生かされるはずです。見えてくるものがあるはずです。何もしなければ何も失わないかもしれませんが、何も得ることはないのだと思います。是非、挑戦を続けてください。挑戦を乗り越えていってください。そのことは「人」としての成長にもつながるはずです。
3つ目です。変化に対応していく上でも、挑戦する際にも必要なことになるものですが、皆様には自分の頭で「考える」こと、それも「一歩踏み込んで考えること」を励行していただきたいのです。今は生成AIに聞けばそこそこの答えが返ってまいります。でも、そればかりでは思考停止に陥るのみならず、誤った回答で誤った選択をしてしまうことにもなりかねないと思います。生成AIに参考意見を求めることはあっても、そこに全面的に頼ることには様々なリスクがあります。皆さんはこれから様々な場面で課題を解決したり、選択をしなければならない場面があると思います。その時、課題にある背景、社会的な構造にも目を向け、また、一つの価値観にたって方向性を決めてしまうことなく、多角的に物事を見て、こうしたら次はどうなるか一歩踏み込んで考えることが重要なのだと思います。「多文化共生力」を大東文化大学で育んでこられた皆さんは得意のはずです。ただ、自分一人では煮詰まってしまうこともあると思います。そのような時こそ、仲間、周囲の方の存在を思い出していただき、相談したり、意見を聴く、その上でもう一度自分の頭で考えていただきたく思います。また、その過程で仮に自分の知識が足りないと思うことがありましたら、リスキリング、学びなおしていただくことも必要になってくるように思います。学ぶ姿勢は継続していただきたい。それはAI時代であるからこそ、生きていく上で益々重要になるものと思います。
最後にもう一度心を込めて申し上げます。
皆様、本当におめでとうございます。母校は皆様をこれからもずっと応援しております。
本日、ここから巣立つ皆様及び保護者をはじめとするご臨席の皆様のこれからが幸多いものとなりますこと、ご健勝とご活躍をご祈念申し上げまして私からのお祝いの言葉とさせていただきます。
表彰
本学学則第48条及び大学院学則第56条に基づき、2025年度学長賞には、大田潤さん、宮口拓己さん、廣瀬光汰さん、守祐陽さん、磯崎翼さん、北出達也さん、加藤柚帆さん、西野真央さんの8名が選ばれた。
受賞理由は以下の通り。
大田潤さん、廣瀬光汰さん、西野真央さんは「2025年度第118回日展第五科(書)」において入選した。
宮口拓己さんは「2025年度第66回全国書道展」において外務大臣賞を受賞した。
また、守祐陽さんは「東京2025 世界陸上競技選手権大会 男子100m予選2組」において7着の成績を収め、磯崎翼さんは「テコンドー2025年度台中国際オープン大会 男子68kg級」において3位に入賞した。
さらに、北出達也さん(男子54kg級)、加藤柚帆さん(女子53kg級)は「2025 WTテコンドー世界選手権」に出場した。
卒業生代表挨拶
経営学部経営学科:赤岡拓哉さん
爽やかな風が吹き抜け、春の訪れを感じる今日のよき日。私たち卒業生のために、このような盛大な式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。本日、この学び舎を巣立つ時を迎えられたことを、卒業生一同、心より誇りに感じております。
振り返れば四年前、私たちは大きな希望と、それと同じくらいの不安を胸に、この大学の門をくぐりました。期待に胸を膨らませた矢先、私たちの学生生活はこれまでにない社会の変化に直面しました。当たり前だと思っていた対面での講義や、友人との何気ない会話が制限される日々。キャンパスの活気が失われた時期もありましたが、私たちは決して立ち止まることはありませんでした。画面越しに、あるいは距離を保ちながら、新しい繋がりの形を模索し、学び続けることができました。
そんな大学生活の中で、私にとって決して忘れることのできない経験があります。それは、中・高・大学生を対象とした金融・経済学習コンテストの「日経STOCKリーグ」へ仲間と共に挑戦したことです。
単に株式投資の仕組みを学ぶだけでなく、現代社会の課題を見つめ直し、未来を予測して自分たちなりの「投資の哲学」を一冊のレポートにまとめる。それは、正解のない問いに対して、自分たちの言葉で答えを探す、極めて創造的で過酷な作業でした。
レポートの作成過程では、何度も壁にぶつかりました。データの分析結果が予想と異なり、最初から練り直すことになったこと。お互いの譲れない意見がぶつかり合い、議論が平行線を辿った時間。何度も挫折しそうになりましたが、その度に私たちを繋ぎ止めていたのは、同じ目標を見つめる「協働意識」でした。
互いの得意分野を信頼し、補い合い、一つの価値を創り上げていく。その過程で得られたのは、単なる知識の蓄積ではなく、仲間と深く理解し合うことで生まれる強固な絆でした。締め切り直前、最後の一行を書き終えて全員で提出ボタンを押した瞬間の、あの震えるような達成感。あの日、共に分かち合った喜びは、私の人生において欠かすことのできない大切な財産となりました。
大学という場所は、単に専門知識を授かる場所ではありません。自ら問いを立て、他者と協働し、困難を乗り越えていく力を養う場所です。日経STOCKリーグでの経験は、まさにその象徴でした。
今日まで私たちを導いてくださった諸先生方、職員の皆様。未熟な私たちを辛抱強く見守り、知的な刺激を与え続けてくださり、ありがとうございました。そして、どんな時も一番近くで支えてくれた家族。言葉にできないほどの感謝を、この場を借りて伝えたいと思います。
これから私たちは、それぞれ異なる道を歩み始めます。不確実で変化の激しい社会において、時には迷い、立ち止まることもあるでしょう。しかし、この学び舎で培った知識と、最高の仲間たちと共に味わったあの達成感があれば、どんな荒波も乗り越えていけると確信しています。
大東文化大学学則第1条にある、「学問の理論と応用を教授・研究して真理と正義を愛する自主的精神に充ちた良識ある人材を育成し、文化の発展と人類の福祉に貢献すること」という言葉を胸に、私たちは一歩ずつ、自らの足で未来を切り拓いていくことをここに誓います。
最後になりますが、大東文化大学の益々のご発展と、ご列席の皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
社会学部社会学科:川瀬真由さん
ふりそそぐ陽の柔らかさに、春の訪れを感じる今日の佳き日、私たちは卒業の時を迎えました。本日は私たち卒業生のために、このように盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。高橋学長をはじめとする諸先生方、並びにご来賓の皆様、ご多忙の中ご臨席を賜り、卒業生一同深く感謝申し上げます。
私は自分自身に挑戦するため、陸上競技部女子長距離ブロックの一員として4年間活動してまいりました。駅伝日本一を目指し、トップレベルのチームメイトたちとともに切磋琢磨した日々は、うまくいくことばかりではなく悔しい思いも多くありました。しかし、家族のように温かいチームと多くの声援、恵まれた環境の中で4年間、日本一に挑み続けることが出来たことは、競技者としてこの上なく有り難いことだったと感じます。伝統ある大東文化大学のユニフォームを身にまとい、その重みと、多くの声援への感謝を力に変えて走りぬいた日々は、何物にも代えがたい財産です。
部活動と両立してきた社会学部での学びは、新たな発見の連続でした。
社会学とは、「当たり前を疑うこと」から始まります。講義やゼミ活動を通して、社会を構造から客観的に見つめ直すことで、問題の本質を多角的にとらえる姿勢を養うことが出来ました。無意識のうちに抱いている思い込みや、偏見、そして社会から割り当てられる役割。それらは他者に対するものであると同時に、自分自身に対しても、気づかぬ内に固定観念となって当てはめているものなのだと感じました。効率や成果が優先される現代において、今、目の前にいる人と真摯に対話をすること。その積み重ねが社会をかたち作り、同時に自分自身と真摯に向き合うことにつながるのだと学びました。
この4年間、苦しい局面で私を支えてくれたのは、こうした対話を実践してくださった先生方や友人たちの温かな理解でした。「当たり前」だと思っていた練習環境や学業との両立は、実は多くの温かな支えによって成り立つ有り難いものであったのだと、改めて今、実感しています。ひとりでは立ち上がれない時に勇気をもって人に頼り、支え合うことの温かさを知ったことも、この4年間で得た大きな学びです。
本日をもって、私たちは4年間の学び舎に別れを告げ、それぞれが選んだ道を歩んでいきます。これから先、大きな壁にぶつかることもあると思います。そのたびに、きっとこの大東文化大学で学んだ日々が、私たちに再び挑戦する力を与えてくれると信じています。これまでの道のりを証明していくのは、これからの自分たちです。
最後になりますが、これまでご指導ご鞭撻を賜りました先生方、職員の皆様、どんな時も背中を押してくれた家族、ともに支え合ってきた友人たち、そしていつも温かく見守りサポートしてくださったすべての皆様に、心より深く感謝申し上げます。
大東文化大学のさらなるご発展と、皆様の益々のご健勝をお祈り申し上げ、卒業生代表挨拶とさせていただきます。
司会進行は昨年度に引き続き、DHK(大東文化大学放送協会)が務めました。