NHK連続テレビ小説『虎に翼』などを手掛けた作家・脚本家の吉田恵里香さんを講師にお招きした図書館講演会が10月14日、板橋キャンパス多目的ホールにて開催されました。
開演前には、吉田さんが図書館スタッフや学生ボランティアとともに学長室を表敬訪問され、高橋進学長との和やかな懇談と記念撮影が行われました。


講演会
講演前半のテーマ「職業としての作家論」では、吉田さんのキャリア形成や他大学での講演エピソードが明かされました。学生時代の演劇ボランティアでの出会いを機に人気楽曲のノベライズでデビューを果たした経緯や、「40歳までに朝ドラの脚本を担当する」という目標を掲げて歩んできた道のりが紹介されました。
作品紹介では、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんをモデルに女性たちの挑戦を描いた朝ドラ『虎に翼』や、家族系動画配信の裏側と親子の葛藤を描いた最新ドラマ『もうパパ!』などの執筆裏話を解説。アニメ『前橋ウィッチーズ』においては、当初舞台を限定していなかった中で前橋市が非常に意欲的かつ全面的に協力してくれたという制作秘話が披露されました。実は『虎に翼』より前に執筆が始まっていた本作について、「プリキュアを観て成長した世代へ届けたい」という企画意図とともに、番組後半に引きを作る『クリフハンガー』の脚本技法や、魔法でも個々人が背負う大きな悩みは解決できないと言う深いテーマ性が語られました。
後半の「インプットとアウトプット」の中では、主催者側から「義務の有無にかかわらず、創作や論文といった成果物を生み出すインプットとして読書には大きな意義があり、図書館を積極的に活用してほしい」という開催趣旨が改めて提示されました。吉田さんのお話では、片道2時間の通学時間を活かした年間365冊読破の経験や、専門外のジャンルを渉猟する工夫を紹介。資料収集において異なる立場の専門書を読み比べる大切さや、SNSなどの短い言葉に安易に影響されず、物事のグラデーションを深く思考する姿勢が示されました。
質疑応答では独自のキャラクター造形術なども伝授され、参加者は真剣な眼差しで耳を傾けていました。
本講演会の進行は牧山悟郎図書課長とともに、図書館インターンシップに参加した大矢一葉さん(社会学科3年)とビブリオバトル地区決選への出場を決めた安藤槙人さん(日本文学科4年)の学生2名が担当し、会場をアットホームな熱気で包み込みました。差別や偏見を作中に放置せず、表現と誠実に向き合い続ける吉田さんの執筆姿勢に、聴衆の誰もが深い感銘を受ける貴重なひとときとなりました。
なお、本講演の中でも触れられた通り、吉田さんが脚本を手がける『劇場版 前橋ウィッチーズ』(2026年10月23日公開)や『劇場版 虎に翼』(2027年1月15日公開)も今後予定されており、第一線で活躍を続けるクリエイターの思考や姿勢に直に触れる大変刺激的な一日となりました。



