3月27日、大宮ソニックシティにおいて埼玉中小企業家同友会主催の就職問題懇談会が開催されました。テーマは「地域企業の求人採用最前線と、入試改革に見るこれからの若者の育成」。
新里孝一学部長が、問題提起を兼ねた基調講演を行ないました。企業・大学関係者を合わせて参加者数は60名にのぼりました。本学からは、キャリアセンターの酒井優好室長と国際関係学部事務室の宮原輝子事務長が参加しました。
新しい「大社接続」のために
「新しい『大社接続』のために」。高大接続改革の背景と概要をふまえ、次のような問題提起がなされました。すなわち、人材育成(人づくり)は大学と企業の共通の課題である。それにもかかわらず、大学と企業は、これまで「人材の育成」に関して相互理解を深めるための本気の取り組みをしてきただろうか。
企業の求める人材像と大学が育成する人材像が乖離している場合、不利益を蒙るのは企業への就職を考える学生である。3年次中期から4年次中期までの貴重な時間を、大学の学びと断絶した(必ずしも大学の学びの延長線上にはない)志望企業の「求める人材像」に適応するために割かなければならないからである。
「大社接続」とは、人づくりをめぐって大学と企業が協働することである。そうだとすれば、人材育成のための大学と企業の協働にはどんな形があるだろうか。
中小企業家の視点から
講話をうけて、山本工機株式会社代表取締役の山本成年氏が、中小企業家の視点から、以下のような問題提起を行ないました。
学生には、日本企業の中核をなす中小企業に関する知識がほとんどない。授業の一環として1年生から中小企業とかかわりをもつことはできないのか。学生に中小企業を知ってもらうためには、まずは大学教職員と中小企業同友会との交流を深める必要があるのではないか。
グループ討論
新里学部長と山本社長の問題提起をうけ、参加者が6グループに分かれ、以下のトピックについて熱心な討論が行なわれました。
○求人に限定されない、企業による学生のキャリア教育のかたちとは?
○企業が、大学のキャリア教育に、どうかかわることができるか?
○企業家と大学教職員の連携とは?
グループ討論・報告
グループ討論のまとめでは、各グループからさまざまな観点からの意見が報告されました。
就職活動の早期化を憂うる意見。最近の新入社員の問題解決やプレゼンの能力が高いように感じる、大学でのアクティブラーニングの成果が出ているのではないか。企業が、学生の業界選びや仕事の選択の手助けをすることはできないのか。受け入れ企業が求人を前提に考える従来型の「インターンシップ」に対して、学生のキャリア支援を目的として大学と企業が協働でつくりあげる「インターンシップ」を検討する必要があるのではないか等々。
まとめ
中小企業の経営者の方々の、自社の求人目的に限定されない、学生の将来を見据えた人材育成にかける情熱をひしひしと感じ取ることができました。
中小企業家同友会は「共に育つ”共育”」という理念を掲げ、中小企業を「これからの時代をになう人間を育てるための『たよれる学校』」と規定しています。また「若者たちに、感動ある暮らしを保障し、人間として生きるよろこびを与えられる企業づくりを目指す活動」が、共同求人活動の基本理念の一つとなっています。
今後は、経営者はもとより「企業人510」(入社5年~10年目の企業人)の意見にも学びながら、新しい大社接続に向けて「大学と企業の協働によるインターンシップ」などをテーマに連携をより深めていければよいと思います。