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【2022年度学位記授与式】2,532人が新しい明日へ

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 2022年度学位記授与式が3月23日、東京都千代田区有楽町の東京国際フォーラム・ホールAで挙行された。
 式典は午前の部(経済学部、法学部、経営学部、スポーツ・健康科学部、経済学研究科、法学研究科、経営学研究科、スポーツ・健康科学研究科)、午後の部(文学部、外国語学部、国際関係学部、環境創造学部、社会学部、文学研究科、外国語学研究科、アジア地域研究科)に分かれて行われた。
 卒業者・修了者総数は2,532人。学士課程2,488人(文学部559人、経済学部308人、外国語学部319人、法学部337人、国際関係学部184人、経営学部312人、環境創造学部2人、スポーツ・健康科学部291人、社会学部176人)、博士課程前期課程・修士課程35人、博士課程後期課程9人(内、論文博士1人)。


 

学長告辞・内藤二郎学長

 学部を卒業される皆さん、そして大学院を修了される皆さん、おめでとうございます。また、本日に至るまで長きにわたり陰になり日向になり支えてこられた御父母、ご家族、高校の先生方、その他関係の皆さまにも、心からお祝い申し上げます。

 

 皆さんの学年は、2年生のスタートと同時に新型コロナウイルス感染症が広がり、大変な経験をしましたね。大学もその影響を大きく受けました。キャンパスは入構禁止、授業は全てオンラインとなり、学生の皆さんも教職員も大きな負担を強いられました。これまでに例をみない非常事態に直面し、様々な負担や不便、不安を抱えて本当に厳しい状況でした。皆さんも本当に大変だったと思います。2022年春頃からようやくある程度小康状態となり、皆さんの大学生最終学年である今年度は原則対面授業を実施することができるようになりました。キャンパスに学生の皆さんが戻り、大学は以前の活気を少しずつ取り戻し、本当にうれしかったですし、私も正直ホッとした思いでした。こうした状況のなかで、困難、苦労を乗り越えて今日を迎えられたことは、きっと皆さんにとって自信になったことでしょう。また、色々と思い、悩んだ経験から得たものも多いのではないでしょうか。それだけに、卒業、修了できたことの喜びや達成感はより一層大きいことでしょう。

 

 この点について少し視点を変えてみると、やはり重要なのは、「考え方」・「心の持ちよう」ではないでしょうか。厳しい局面においても、マイナス面ばかりを見ずに、そこから何かを学び取るんだ、つかみ取るんだ、といった前向きな心、そして、きっとうまくいく、乗り越えられる、といったポジティブな考え方を持つこと、こうした心の持ちようが非常に重要ではないかと思います。社会へ出ると、さらに多くの、そして多様な場面に遭遇します。むしろ厳しい状況の方が多いかも分かりません。そこで平常心を保ち、自分自身を上手に律する、ということが必要となる場面が多々あります。そんな時に重要なのが心の持ちようです。世の中には色々なタイプ、性格の人がいますが、一つ言えることは、性格よりも、むしろ心の持ちようで人生の局面が随分変わるものだ、ということです。そして、心の持ちようは、訓練して身に付けるものだとも言われます。訓練といっても大げさに考える必要はありません。日々の生活の中で少し意識し、気楽に取り組んでいくこと、ただし地道に繰り返していくことが大事です。是非、心の持ちようを整える訓練をしてください。併せて、人として正しい、真っ当な考え方をもって行動することだけは忘れないでください。

 

 さて、今お話しした「考え方」・「心の持ちよう」と関連して、私はしばしば「共生」・共に生きる、という話をします。この3年間、入学式や卒業式でも常にこの話をし続けてきました。特にコロナ禍を経験した今、非常に重要なことだと考えています。一つは人間と自然とのかかわりにおいて、そしてもう一つは人間同士の関係においてです。経済、社会が発展し便利になり、人間が豊かな生活を送れるようになった一方で、激しい気候変動、地震や台風などの大規模な災害が頻繁に起こり、地球の存亡自体が危ぶまれるようになっています。人間が自然との共生に失敗した結果と言えるかもわかりません。今回の新型コロナウイルス感染症の問題についても、専門的なことは分かりませんが、ひょっとすると人間と自然との共生にかかわる問題ではないかと感じさせられます。人間同士はどうでしょうか。21世紀の今なお、世界では紛争や争いごとが絶えず、また貧困や飢餓の問題も解決されず、それどころか益々深刻化しています。格差や地球環境問題も広がるばかりです。人間が、人間の都合で行ってきたことで、皮肉にも我々人間自身が危機に直面しているのです。このままでは、いずれ人間社会が持続不可能になってしまうでしょう。国連が提唱するSDGsに代表されるように、今、世界はまさにこのことを問われているのではないでしょうか。今こそ、「共生社会」の大切さを真剣に考えなければならない、そして行動しなければいけません。特に若い皆さん方にはこのことをしっかりと認識し、実感していただきたいと思います。

 

 ご存じのように、大東文化大学の理念には「アジアから世界へ―多文化共生を目指す新しい価値の不断の創造」があります。また、今年、2023年に100周年を迎えるにあたり、「文化で社会をつなぐ大学」というミッション、そして「真ん中に文化がある」というタグラインも策定しました。これらは、「共生社会で違いを認め、尊重し合う」ということだと考えています。国や民族の違い、言葉や文化、宗教の違いもありますし、また同じ国や地域であっても生まれ育った環境、ジェンダー、年齢の違いなどもあるでしょう。大切なことは、それぞれの違いを認め、尊重し合い、共に生きるということです。特に大東文化大学で学んだ皆さん方には、違いを受け入れると同時に「寛容な心」を大切にしていただきたいと思います。

 

 世界に目を転じれば、グローバリゼーションの課題や弊害が徐々に露呈しており、ギクシャクした状況が続いています。米国の国際社会での位置づけや相対的な力が低下し、一方で新興国が大きく台頭するなど、世界は大きな変化の渦の中にあり、先が見通せず不安が広がっているともいえるでしょう。国際秩序や様々な価値観も大きく変化しています。それに伴って我々の生活にもすでに大きな波が訪れているように感じます。これまでにも増してICTを活用した社会が大きく世界に広がっていく、ということがその顕著な例だと思います。ポストコロナに向かって社会全体が大きく変化していく中で、こうした動きがさらに加速することは間違いありません。例えば、最近では、質問すれば人間が話すような会話調で様々な質問に素早く答えてくれるChatGPTというAIを使ったチャットボットが注目されています。この登場によって、検索や情報の要約、レポートや文書の作成、文章の添削、翻訳、メールの作成、作詞作曲まで様々なことを、しかも短時間でやってくれるという技術が実用化されました。その変化とスピードには驚き、唖然とさせられます。

 

 こうした変化に対応すべく、知識や技術を身に付けていくことが必要であることは否定しません。ただし、科学や技術の進歩に人間が流されてはいけないということを敢えて指摘しておきたいと思います。かの有名な歴史小説家である司馬遼太郎先生があるエッセイでこのようなことをおっしゃっておられます。「歴史の中の人々は、人間は自然によって生かされてきたと考え、自然をおそれ、その力をあがめ、身をつつしんできた。しかし、21世紀に入って人間こそが一番えらい存在だ、という思いあがった考えが出てきて、ある意味で自然へのおそれがうすくなった」と。また、「科学と技術がもっと発達するだろうが、人間がそれに飲み込まれてはいけない、我々人間のしっかりした自己が、科学と技術を支配し、よい方向に持っていってほしい」とも述べておられます。東日本大震災から12年を迎えた先日、この司馬先生の言葉を思い出しました。我々が主体的に、そして節度をもって活用するという意識とその実践が問われることになります。世の中が便利になる一方で、実はそれらを人間がコントロールすることすらできないという一種異常かつ危険な状況にも陥っているのではないでしょうか。これを科学技術の進歩、と手放しで喜ぶことが果たしていいことなのでしょうか。今こそ基本・原点に返って我々人間の生き方を考えないといけないのではないかという思いが私の中で年々強くなっています。

 

 同時に、世界が混沌とする中で、いかに自分の人生を切り拓いていくかということも、これまでにも増して重要です。日本も大きな転換期にあります。少子高齢社会がますます進み、長期にわたる経済低迷からなかなか脱却できず、経済力の低下をはじめ、様々な面で国際社会での競争力が弱くなっています。ある調査では、熱意のある社員の割合が6%程度で129カ国中128位という結果だったそうです。日本を立て直すチャンス、そしてそのための時間はどんどん少なくなっているように思います。こうした中で、いかに目標を見いだし、それに向かってチャレンジしていくか、ということが若い皆さんにとっての大きな課題となります。先を見通すことがますます難しくなるなかで、これからは、自分の生きる道、活躍の場が世界のどこにあるのか、ということもなかなか見通せません。日本国内だけでなく、世界に目を向けてチャンスをつかみ取っていかなければなりません。これは逆に言えば、チャンスは世界にある、ということでもあります。国や地域を越えて生きる道、そしてチャンスをつかむために、ぜひ自分磨きに励んでください。それには外国語の力も必要ですし、自分の武器となる専門知識や技術も必要となるでしょう。ただ、敢えて申し上げれば、それだけではまだ十分とは言えないと思います。世界に活躍の場を広げていくには、違った食生活や文化などの違いをはじめとする異なった環境でも、心身共に健康を保ち、「よし、ここで一つ頑張ってみよう!」といえる力をもち、そして先ほど申し上げた「共生」の大切さを理解し、実践していける人間力が求められると思います。世界のどこにいても自分の人生を切り拓いていける、たくましさを身につけ、頼もしい人間に成長していただきたいと強く願っています。そのためには、是非若い時に色々な挑戦をし、経験を積むことが大切だと思います。失敗を恐れず、自らを鍛えてください。

 

 昨日、WBCで侍ジャパンが見事優勝しました。新しい、若い選手がすばらしい活躍をし、どんどん育っていきます。野球界に留まらず、若い皆さんが様々な分野で切磋琢磨し、世界で羽ばたける存在になってほしいと願っています。

 

 先ほどご紹介した本学の「文化で社会をつなぐ大学」というミッションも、当然その中心は「人」です。人と人、人と自然の共生が大前提です。人間が科学や技術に飲み込まれてしまってはいけない、ということに通じます。皆さんは、100周年を迎える長い歴史と伝統のある大学、そして、「共生」を重んじる大東文化大学の卒業生です。どうぞそのことに誇り、プライドを持ち、同時に大学の良き理解者、応援者になっていただければ大変うれしいです。そして折に触れ、友人や教職員と共に過ごした青春時代を懐かしく思い出し、母校に思いを寄せていただければと思います。

 

 皆さんの人生はこれからです。私と皆さんの違い、私が皆さんにかなわないことがあります。若さ、吸収力、エネルギー、これは皆さんには到底かないません。さらに何よりも、皆さんには多くの時間、そして未来があります。これからの長い人生、是非明るい未来を夢見て、そして具体的にイメージしてください。そして少しずつでいい、一歩一歩前進してください。今の時代、困難な状況ばかりがクローズアップされがちですが、人間万事塞翁が馬と言います。仮に今の状況に満足できなくても、とにかく健康に気を付けて過ごしてください。健康であれば、いつか必ず好機は巡ってきます。私はそう信じています。大東文化大学で過ごした時間、この間の経験が皆さんを鍛え、一人ひとりの自信につながっていると信じています。そして、そのことが今後の皆さんの人生を支える礎となっていくことを心から願っています。皆さん方の益々の成長と大いなるご活躍をお祈りしています。本日は誠におめでとうございます。

理事長祝辞・中込秀樹理事長

 本日は、大東文化大学の学士や修士の皆様の卒業式です。皆様ご卒業おめでとうございます。学園の理事長として心からお喜びを申し上げます。皆様は、平成から令和に切り替わる時代に入学され、令和の4年間を過ごし、令和5年の3月に卒業するという、新しい世代を代表する卒業生の皆様ということになるかと思います。

 

 先ほど学長のお話にもありましたが、その4年間のうち大半は新型コロナの蔓延のさなかで過ごされ、学業の大半を制約された環境の中でしか行うことができませんでした。大変苦しく、辛い思いもされてこられたのではないでしょうか。先生方から直接講義を聞くことができず、画面を通しての学業ではなかなか思うように研鑽を積むことができなかったかもしれません。共に学ぶ者との交流も思うに任せず、孤独な思いをされたことも多くあったことでしょう。しかし、皆様は、そのような苦しい時間を耐え、一段一段と知見を広めて、必要な過程をたどり、晴れて今日の卒業を迎えられました。大変お喜びのことでしょうし、皆様のご両親、ご祖父母、兄弟姉妹、保護者の方々など皆様を取り巻く方々も本当にうれしく、誇りに思っておられるでしょう。

 

 これから皆様はそれぞれ思い思いの道をたどってゆかれることになります。民間企業に職を求める者、公務に従事する者、学業を継続するもの、芸術、文化などの方面に進まれる者、スポーツ界に入られる者等様々でしょう。しかし、皆様は、進む道は違っても、同じ大東文化大学で学業を修め、大学生活という大事な時期に大東文化大学で人格を陶冶された卒業生です。ちょうど今年、大学は100周年を迎えますが、100周年を迎えることのできる大学はそう多くはありません。100周年という歴史のある大学に学んだ先輩たちは、社会のあらゆる場所にあり、そこで様々な貢献を積んでいます。その長年にわたる実績は、動かしがたいものです。小職も理事長就任の後、仕事で接する方々から、卒業生であると親しげに声を掛けられ、驚いたことが多々あります。先日も上海からいらした中国の方と話をする中で、「卒業生です」と声を掛けられました。日本に限らず、あらゆるところに卒業生がおり、それぞれ活躍しています。

 

 皆様は、社会の思いがけないところで、同窓の人々に逢われ、面倒を見ていただいたり、心配をしていただいたりして、感激することが必ず起こります。卒業生の方々はみんな人格に優れた、能力の高い方々でした。大東文化大学の卒業生であることに誇りを持ち、胸を張って歩んでゆきましょう。

 

 これから100周年を迎えて、学園も様々な企画を実施していきたいと思っております。これからしばらくは自分のキャリアを積むことに一生懸命になるかと思いますが、学園の発展にもぜひご協力いただければと思います。頼もしい先輩たちをたくさん送り出せること、大変うれしく思っております。まだ厳しい環境が続くと思いますが、めげずに頑張っていただき、一層素晴らしい人々になっていただくことを心から願い、私の祝辞といたします。

表彰

学長賞には、フランスで開催された「Solidarity's Center Open 国際テコンドー大会」及び「オーストリア国際オープンテコンドー選手権大会」において、銀メダルを獲得した前田 秀隆さん(スポーツ科学科)、オレゴンで開催された「世界陸上競技選手権大会 女子3000m 障害」に出場した吉村 玲美さん(同)、大東文化大学主催「第63回全国書道展」において、文部科学大臣賞を受賞した新井 唯真さん(書道学科)、第9回 日展 第5科(書)で入選し「書の大東」を体現した向井 みりあ さん(書道学専攻博士課程前期課程)の4人が表彰された。

卒業生代表挨拶

〈午前の部〉健康科学科・井上 萌々子 さん

 暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の開花に、春の訪れを感じる今日、私たちは4年間の学生生活を終え、卒業の日を迎えることとなりました。本日は私たちのために、盛大な卒業式を開催していただき、誠にありがとうございます。上京し、初めての土地で、不安や希望を胸に入学してから早4年が経ち、学友たちと本日の卒業式を迎えられることを大変嬉しく思います。

 私は、臨床検査技師の国家試験に合格するという目標のもと、4年間勉学に励んでまいりました。臨床検査技師という職業はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、医療現場で超音波検査をはじめ、検体検査、細菌検査、採血等、その業務内容は多岐にわたり、人々の健康を守るために活躍しています。私は、チーム医療の一躍を担う臨床検査技師となるために1年次から自己研鑽に努めてまいりました。3年次の臨地実習では学内での実習授業とは異なり、臨床の現場を実際に経験し、医療人としての責任の重さを実感しました。私はこの臨地実習で、勉強面はもちろんですが人間的にも一番、成長できたと思います。
 
 卒業を控えた今年度は、就職活動、ゼミ活動の集大成となる初めての学会発表、国家試験対策が重なり、目まぐるしく日々が過ぎていきました。友人たちと励まし合いながら全てに全力で取り組み、結果を出すことができたことは今後の自分への大きな財産となりました。新型コロナウイルスの世界的規模での大流行、その感染対策のため、満足に学内での授業ができない場面もありましたが、ITを利用した教育コンテンツの作成、実技動画の配信など、工夫を凝らして授業を行なってくださった先生方にはとても感謝しています。

 最後になりましたが、学長をはじめ、本学でご指導ご鞭撻をいただきました先生方、職員の方々、そして家族、いつも暖かく見守ってくださったすべての方々に感謝を申し上げるとともに、大東文化大学のさらなる発展と、在学生の皆様の輝ける前途を願いつつ、卒業生一同の旅立ちの言葉といたします。
 
 

〈午後の部〉書道学科・興梠 晴洋 さん

 ひと雨ごとに春の色が濃さを増し、桜の開花に春を感じる今日、私たちは4年間の学業生活を終え、卒業の日を迎えることとなりました。本日は、ご多忙の中、諸先生方並びに来賓各位のご臨席を賜り、盛大な卒業式を挙行していただき、卒業生一同、感謝の念でいっぱいでございます。今まさに卒業という現実と対峙する時、私たち一人ひとりの胸中には、さまざまな思い出が去来しているに違いありません。
 
 振り返ると、大学での時間は瞬く間に過ぎていきました。地元の宮崎県から不安と希望を胸に大きな一歩を踏み出した4年前の春。大好きな書道をすることができる喜びに胸を弾ませながら、本学の門をくぐりました。幼い頃から人前に立つことがあまり得意でなかった私は弱気な自分を変えようと、入学してすぐオリエンテーションコンダクターとしての活動を開始しました。その活動の中では、全体を取りまとめる総括という大役を任されたことに戸惑いを隠せず、挫けそうになることが多々ありました。ですが、共に研究を進める仲間に助けられながら、自分なりの総括像を模索し、追求してきました。この活動を通して、人と関わることの難しさを知ると同時に、学友と共に大きな成果を上げることの嬉しさを知りました。
 
 しかし私たちにとって最も大きな出来事は、2年次の、新型コロナウイルス感染症のパンデミックです。この未曾有の厄災のなかで厳しい制約を受けながら過ごさなければならず、全く予期していなかった現状に困惑し続ける日々となりました。人と人の直接的なコミュニケーションが制限される中で、私は何か大切なものを失いつつあるのかもしれないという漠然とした不安を感じることもありました。ですが、そういった状況の中でも、慣れないオンライン授業で対応してくださった諸先生方のおかげで、必要な情報や知識を効率的に得ることができ、そして新たな価値観を創造することができました。人はどのような状況でも自ら学び、自ら考え、自ら行動し、新たな環境や、状況に慣れ適応していく生き物なのだと感じた経験でもありました。
 
 そして迎えた最終学年、尊敬する先生の背中を追い続け、日々奮闘しながらひたすら書道に向き合うとともに、教員採用試験に向けて共に受験する仲間と支え合いながら毎日勉学に励みました。書道学科で行われる卒業制作展では、ゼミ長・副ゼミ長とともに一人一人が責任を持って仕事を果たし、無事に成功を収めることができました。そして何より、自分の努力に対して、結果がついてこず、努力が報われないことがあることも知りました。苦しくて、辛くて、何度も逃げ出したいと思った日々がありました。ですが、その時に必ず支えてくれる存在がありました。

 

 まず大学で出会った友人たち。授業終わりに、何百回も遊んで、一緒にご飯を食べて、一緒に勉強を頑張って、辛い時にはお互いに支え合えるそんな関係性が、本当に居心地が良くて、たくさん救われました。自分のことのように人のことを考えることができるお人好しな皆が本当に大好きです。次に学問の奥深さを示唆し、時に優しく、時に厳しく、的確にご指導くださった先生。大学で出会ってから、その先生の背中を追い続け、私は4年間で大きく成長できたと思います。誰よりもストイックで、学生のことをすごく真剣に考えてくださる、一番に尊敬する存在です。そして今まで育て、大学にまで通わせてくれた両親。何度もぶつかることがありましたが、それでも2人の存在が紛れもなく私の支えになっていました。父から言われた、「お前は一人じゃない」という言葉。幼い頃から変わらない、母のどんな夢も応援してくれる温かい姿勢。お互いに気が強くて、頑固で、それでもやっぱり子供のことを一番に考えてくれる2人の子供に生まれて本当に良かったです。卒業する私たち学生には、それぞれ大切な感謝すべき存在があったと思います。
 
 私たちは今日、この大東文化大学を卒業します。今後さらに学問の道に進む者も、実社会において職業上の目的に邁進する者も、明日からの人生の節目においてその都度、4年間で学んだそれぞれの専門性を活かし、学びの意義を噛み締め、一人ひとりが託された使命を精一杯果たします。そして、自分で決めた未来に向かって、決して逃げ出さず、視座を変え、視点を変え、解を想像していきたいと思います。最後になりますが、大東文化大学の更なるご発展と、教職員並びに関係者の皆様の益々のご健勝、在校生の皆様の一層のご活躍をお祈り申し上げ、卒業生代表挨拶とさせていただきます。

 

校歌静聴

 司会進行は昨年度に引き続き、DHK(大東放送協会)が務めました。

学生の皆さんに取材・撮影にご協力いただきました!

 学位記授与式の様子は後日、本学オウンドメディア「Daito Eyes」でも公開しています!