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アジア芸能祭が開催されました

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 12月3日(月)~6日(木)のお昼休み、東松山校舎5号館Mフロントにおいて、地域研究学会と民族資料委員会の共催「アジア芸能祭」が開催されました。地域研究学会の各研究班・授業・個人でアジアの芸能を学んだ学生が日頃の練習の成果を披露しました。

第1日目 二胡演奏

 初日は二胡の演奏。国際関係学部の3年生で二胡演奏者としても活躍されている北島拓磨さんによる見事な独奏でした。冒頭で北島さんが簡単に紹介してくださったところによると、二胡とは、中国の伝統的な擦弦楽器の一種で、日本の胡弓やモンゴルの馬頭琴などと同様に弓で弦をこすって音を出すのだそうです。中でも弦が2本であることから二胡と呼ばれるようになったとか。馬の毛で作られた弓とニシキヘビの皮で作られた琴筒からは、伸びのある艶やかな音が流れてきました。

 奏者である北島さんは中学生のころから独学で二胡の演奏を学び、2017年には中国音楽のコンクールの国内最高峰である第18回中国音楽コンクールで最優秀賞「特賞」と「中華人民共和国駐大阪総領事館賞」の二賞に輝いた経歴を持っています。既に二胡の先生としても活躍しているほどの腕前です。

 演奏は、私たちにも馴染みのある日本のポップスを中心に、二胡のための楽曲も加えられた幅広いもの。中でも最後に演奏された賽馬では、緩急のあるリズムにのせた多様な弾き方とそこから紡ぎだされる様々な音色(馬の鳴き声まで二胡で再現!)に魅了されました。

 

第2日目 韓国農楽

 2日目は農楽でした。民族資料研究班の学生が、一般社団法人民族音楽院の李昌燮先生よりご指導いただき、また当日は李先生自らが助演してくださって、リズムに乗った賑やかな演奏と活気ある踊りで場を楽しませてくれました。農楽とは、朝鮮半島に伝わる伝統芸能で、踊りを伴った農民の音楽の総称です。特に農事歴に関わる祭の際に用いられるようです。

 総勢10数名による華やかな踊りが披露された後は、李先生のソロが続きます。チャング/チャンゴと呼ばれる打楽器を手に持ち、強弱をつけた様々な音を奏でながら躍動的に踊るのですが、農民の収穫祭などに用いられることが多かったからでしょうか、見ているこちらまで浮き足立って一緒に踊りだしたくなるような(それにしてはリズムが複雑ですが)、思わずその世界に引き込まれてしまうような、不思議な魅力を持った踊りでした。

 李先生からは、農楽で用いられる楽器の紹介とそれぞれの楽器が全体の中で果たす役割、そして頭を飾る帽子につけられたサンモと呼ばれる長い白い紐の振り方なども教えていただき、なんと!鑑賞に来ていた学生さん2名は帽子を付けて音に合わせてサンモを振ってみるという、またとない経験をすることができました。

第3日目 ガムラン演奏

 3日目は12月とは思えない日差しの中、地域研究学会ガムラン研究班「カチャン・ロンチャッ」によるガムラン演奏が行われました。

 ガムランはインドネシアの古典音楽を代表する伝統的な合奏音楽ですが、広大な海域に点在する島々から成るインドネシアでは、各地で異なるガムランがみられます。「カチャン・ロンチャッ」では、小迫直子先生の指導の下、首都ジャカルタのあるジャワ島の中部で演奏されている宮廷スタイルのガムラン音楽を、週1回練習しています。

 1曲目の演奏は、「シンガ・ヌバーLcr. Singa Nebah sl. Manyura」(沼地のライオン)でした。獲物を狙って沼地に身をひそめる百獣の王ライオンが、ぬかるみに足を取られて思うように歩けないというユーモラスな姿を描いた曲です。助演の後藤弓寿さん、木村佳代さんのサポートを得て、楽しい演奏を聴くことができました。

 2曲目は「リチリチLcr. Ricik-ricik sl. Manyura」でした。「リチッリチッ」とはインドネシア語で「とても小さい」という意味ですが、その名の通りとてもかわいらしい曲で、ガムラン演奏を学び始めた人が最初に練習する曲でもあるそうです。

 最後は「ゴレッ・ムギラハユGolek Mugirahayu」というジャワ舞踊でした。「ゴレッ」とは影絵芝居で用いられる木製人形を指しますが、この人形の動きを舞踊に取り入れています。学生の息の合った演奏をベースに、佐藤じゅんこさんの高音の美声と、小谷竜一さんを筆頭とする3人の男子学生の低音が奏でるハーモニーの中、吉岡理菜さんの素晴らしい踊りを堪能することができました。

 

第4日目 インド舞踊とパーカッション演奏

 冬らしい寒さの中、アジア芸能祭の4日目を迎えました。最終日の演目は、小尾淳先生が担当されている「比較文化特殊講義(アジアの舞踊と身体文化)」を履修している学生たちによる、南アジア伝統舞踊とインド・ムービー・ダンスでした。芸能の宝庫であるインドには数多くの舞踊がありますが、今回披露したのは南インドのバラタナーティヤムです。

 1曲目は、「プシュパンジャリ(献花の踊り)」という古典舞踊でした。サンスクリット語で「プシュパ」は花、「アンジャリー」は「捧げる」という意味で、舞台の成功や無事を祈る意味を込め、最初に踊る曲として知られます。サリーに身を包んだ学生たちは、助演の荒井俊也さんと竹原幸一さんによる打楽器の伴奏と小尾先生の歌に合わせて登場し、軽やかなステップを披露した後、シヴァ神に花を捧げる様子を一人一人がマイムで表現しました。

 続く2曲目はガネーシャ神の栄光を讃え、祝福を得るための韻文「ガネーシャ・シュローカ」を含むリズミカルな踊りでした。象頭人身のガネーシャ神を表すために手を耳の近くに寄せたり、大きなお腹をかかえてのしのしと歩く箇所が見どころでした。

 3曲目は、今回助演としてお越しくださった、荒井俊也さんによる打楽器ムリダンガムと、竹原幸一さんによる口琴(モールシン)の楽器紹介とパーカッション・アンサンブルでした。南インドの音楽コンサートで行われるように会場の皆さんも一緒に8拍子をカウントしながら鑑賞しました。モールシンの奏でる霊妙な旋律と絡み合うように、時に強く、時に柔らかく奏でられるムリダンガムのビートは、一瞬にして場をインドにしてしまう力強さにあふれていました。

 最後に、サリーからパンジャービー・ドレスに着替えた学生たちが、2009年に公開されたインド映画「Billu Barber」の劇中歌として使われた「Marjaani Marjaani」を踊りました。今回のインド・ムービー・ダンスは、特別講師として招聘したMikan先生(サンドーシャン主宰)がアレンジしてくださったものです。一つ一つの所作をきちんとこなす必要のある古典舞踊とは異なり、男性パートと女性パートに分かれてノリノリで楽しそうに踊る学生たちの姿が印象的でした。

 今回のイベント開催に際し、国際関係学部事務室、管理課、DHK(大東文化大学放送協会)、外部出演者の皆様に多大なご協力を賜りました。ここで御礼申し上げます。