Extention Lecture

2008年度公開講座

東洋研究所では1985年(昭和60年)から一般の方を対象とした公開講座を開催しています。
「アジアの民族と文化」を共通テーマに毎年11月に3回講座を行っています。

2008年度公開講座

第1回 11月6日(木)13:00~15:00

テーマ
日本の古典文学に影響した漢詩文
講師
遠藤光正((財)無窮会東洋文化研究所理事,東洋研究所元所長)

古来、中国を中心とする漢字文化圏に属する国は、日本・朝鮮・ベトナム等の国であり、それが今日ではアジアの民族中、漢字を使用する国は日本と中国のみである。嘗ては、これらの国々も漢字を通して自国の文学に見られる修辞(レトリック)に尻取り句法や数的慣用表現などを共通使用しており、また漢詩の影響による朝鮮の時調(しじょ)、日本の和歌や歌謡との関連性について、更には日本の和歌や俳句が中国に影響を与え、中国短歌や漢俳となって、中国の詩歌に波及していったという、日中両国の文学交流の跡をたずね、その実例を挙げながら比較文学的に講じてみたい。

第2回 11月13日(木)13:00~15:00

テーマ
不干ハビアン・天草四郎・フォールコンの妻
―日本人キリシタンの苛酷な運命とその闘い―
講師
生田滋(大東文化大学名誉教授)

日本では16世紀の末から17世紀の初めにかけてキリスト教の布教が行われ、多くの信者が生まれた。しかし徳川幕府によるキリシタン弾圧が始まると、かれらは棄教、殉教あるいは国外追放という、苛酷な運命に翻弄された。今回の講義ではここに挙げた三人の信者の経歴をたどり、かれらがその運命とどのように闘ったか、またもしキリシタン禁教がなかったとしたら、かれらにはどのような未来があったのかについて考えてみたい。

第3回 11月20日(木)13:00~15:00

テーマ
先祖供養と仏教-檀家制度の歴史と現状-
講師
松本照敬(東洋研究所教授)

今日の日本仏教は、江戸時代に成立した檀家制度によって支えられている。檀家とは、一定の菩提寺に葬儀や追善供養の読経を依頼し、布施を行う家のことである。わが国では、寺は個人とではなく家と結びついているのである。檀家制度は宗派や寺の本末関係、先祖供養の儀礼などと密接に関連している。いかにして檀家制度が成立したのか、現状はどのようであるか、また将来はどのようになると予測されるか、について考えてみたい。