Extention Lecture

2015年度公開講座

受講生募集は終了いたしました。

第1回 11月5日(木)13:00~15:00

講師
中村 聡(東洋研究所兼任研究員・玉川大学教授)
テーマ
プロテスタント伝来と東アジアの近代

アヘン戦争に敗北した清朝は、イギリスを始めとした欧米各国と次々と不平等条約を結んでいった。居留地に移り住んで来た人々の中には多くのプロテスタント宣教師も混じっていた。 彼らはカトリック布教禁止令の下で、教会建設も侭成らない中、文書による伝道を展開していった。これらの文書の中には、直接キリスト教の教義を説く文書もあれば、西洋の近代科学の紹介書もあった。 中国が近代化に苦しんでいた同じ時期、日本でも幕末~明治という近代化の嵐が起こっていた。中国においてプロテスタント宣教師によって著された布教書、近代科学の紹介書は、半年を経ず幕末の長崎に舶載され、日本の近代化にも大きな役割を果たすことになった。さらに、この影響は幕末に止まらず、近代化した明治前半にまで大きな影響をもたらすことになった。
中国と日本の近代化をプロテスタントの伝来のもとに考えてみたい。

第2回 11月12日(木)13:00~15:00

講師
生田 滋(東洋研究所特別兼任研究員・大東文化大学名誉教授)
テーマ
16世紀のヨーロッパ人の自己認識

「大航海時代」は、ヨーロッパ人にとって自分たちのヨーロッパ世界について初めて客観的に認識することができるようになった時代でもあった。かれらの残した記録はヨーロッパ世界の優位を示すものと解釈されてきた。ところが幸いなことに16世紀にヨーロッパ世界と非ヨーロッパ世界を比較して論じた記録がいくつかある。ルイス・フロイスの『日欧文化比較』や『遣欧使節対話録』である。これらの記録に基づいて、当時ヨーロッパ人がヨーロッパ世界をどのように理解していたかを紹介する。
(講演の内容は一部予告なしに変更することがあります。また講演当日にレジュメを配布します)

第3回 11月19日(木)13:00~15:00

講師
山田 準(東洋研究所専任研究員・大東文化大学教授)
テーマ
オランダも隠れキリシタン?

カトリックのスペインから80年戦争に勝利し独立を果たしたオランダはプロテスタントを唱え、ポルトガルの東洋貿易独占を阻止することを目的に、新航路を発見すべく探検航海を行い、新航路発見を機に東洋貿易会社が乱立することになった。その中の一社が艤装した船団の一隻が日本に到着することによって、ポルトガルとの南蛮貿易を終焉に導き、禁教政策の完結を幕府に進言し、キリスト教国でありながら布教ではなく貿易目的を理由に日蘭貿易を維持した。しかしその背景にはキリスト教徒としてのエピソードを残している。それらを中心に講義を展開する。