Extention Lecture

2011年度公開講座

東洋研究所では1985年(昭和60年)から一般の方を対象とした公開講座を開催しています。
「アジアの民族と文化」を共通テーマに毎年11月に3回講座を行っています。

2011年度公開講座

第1回 11月10日(木)13:00~15:00

講師
渡邉義浩 (本学文学部中国学科教授)
テーマ
言葉を紡ぐ女性たち
―現代イランに生きた女性詩人たち―

「魏志倭人伝」は、そのすべてが事実に基づく記録なわけではありません。そこには、卑弥呼が使者を派遣した当時の曹魏の内政・外交や当時の世界観に起因する偏向が多く含まれているのです。もちろん、倭人伝には、三世紀の日本の現実を直接見聞きした使者の報告書に基づく貴重な部分もあります。講義では、「魏志倭人伝」の虚実を明らかにし、「魏志倭人伝」から考えることができる三世紀の日本を明らかにしていきます。

第2回 11月17日(木)13:00~15:00

講師
小林春樹 (東洋研究所准教授)
テーマ
現代の日本人が、中国古代文化から得るべき教訓
―陰陽五行思想・天人相関思想・災異思想を中心として―

中国古代の思想を代表する存在として副題としてあげた三つの思想が存在するが、それらの実態や影響についての理解は十分とは言い難い。本講座では、「自然への正しい畏怖を基底に据えたコスモロジー」である「天人相関思想」を中心として紹介するとともに、「いつ果てるとも知れない人災としての核の脅威の時代」を生きる現代の日本人にとって有意義な叡智をそこから導出する。

第3回 11月24日(木)13:00~15:00

講師
岡倉登志 (本学文学部英米文学科教授)
テーマ
岡倉天心とアジア文化―日本とインドを中心に―

20世紀初頭、岡倉天心はインドに滞在し、アジア文化についての見識を広め、アジア文化論を『東洋の理想』にまとめた。同時に白禍=ヨーロッパ帝国主義に対するアジアの団結を「我らは一つ」という言葉で呼び掛け、『東洋の覚醒』の原稿を執筆した。インドでのタゴール、二ヴェディッタ、ヴィヴェカーナンダらとの交友関係や見聞を中心にボストン時代以前の天心思想の中心にせまってみたい。