2024年度入学式が4月2日、埼玉県さいたま市のさいたまスーパーアリーナで挙行され、8学部20学科7研究科3,119人が入学した。
学部別の入学者数は文学部659人、経済学部463人、外国語学部322人、法学部384人、国際関係学部213人、経営学部416人、スポーツ・健康科学部372人、社会学部224人。
研究科別の入学者数は文学研究科18人、経済学研究科6人、法学研究科1人、外国語学研究科6人、アジア地域研究科5人、経営学研究科7人、スポーツ・健康科学研究科17人(博士課程前期課程・修士課程)。文学研究科4人、外国語学研究科1人、経営学研究科1人(博士課程後期課程)
学長告辞・高橋進学長
さて、本学は昨年度創立百周年を迎えました。従いまして、新入生の皆さんは、次の100年に向けて、新たなる大東文化大学の歴史にその一歩を刻むことになります。
そこで、皆さんの手元にある入学のしおりにも示されていますが、本学の沿革や建学の精神についてご紹介をさせて戴きたいと思います。
1923年(大正12年)、大東文化大学の前身である大東文化学院は、帝国議会の決議によって、この世に産声をあげました。大正12年について皆さんは、どのような一大事があったかご存じですか。そうです。9月1日には、かの関東大震災が起こりました。そのような大激動の社会において、本学は同月20日に開学をすることになったのです。
その決議とは、東洋の文化を基礎として西洋の文化を吸収し、東西文化を融合して新しい文化の創造を図ろうとする有識者の提案によるものでした。皆さんもご存じのように、明治維新以降、日本社会はひたすら西洋化に向かうことに邁進していました。そのような時代背景にあって、本学の開学の必要性を示した多くの有識者が日本を憂い「自国の文化やアジアの文化を知り、ゆるぎないアイデンティティに基づいて西洋文化の良さを吸収していく」ことの異議を唱えたのです。まさに現代の国際社会の規範ともなる考え方です。そして、この考え方に基づいた活動は、本学においてはすでに創立当時からはじまっていたのです。大東文化学園は、東西文化の融合のあり方を説いたこの考え方を、建学の精神としているのです。多様性の重要性を開学当初から訴え続けているということもできます。
更に本学の教育の理念において「この建学の精神に基づき、東洋の文化を中心として広く全世界の文化に関する様々な学問を研究・教授し、その振興を図る」「東洋固有の文化を尊重し、その伝統的美徳を身につける」更に「豊かな人格の形成に努め、併せて国際的な視野を持ち、世界の文化の進展と人類の幸福の実現に寄与できる有為な人材を育成する」を目標としたのです。
グローバルな視点で、世界・人類の幸福に寄与できる有為な人材育成の必要性は、正に今日的課題でもあります。本学は、開学以来、100年に亘って変わらない姿勢で教育・研究に真摯に向き合ってきた大学であることに自負を抱いています。
先述したように、大東文化大学は、一世紀前に帝国議会の決議によって創設された大東文化協会が設置する大東文化学院を前身とし、中国学、日本文学、書道などの分野で比類ない伝統と歴史を誇ってきました。
今日では人文・社会科学全領域だけでなく一部体育・保健衛生系の領域までもカバーする、8学部20学科を擁する総合大学へと発展し続けてきたのです。
また、創設以来、中国やアジアに強い大学として世に認められてきましたが、今日では環太平洋さらには全世界に国際交流の輪を広げるなど、創設の理念「東西文化の融合」は脈々と受け継がれてきています。
今では、大東文化大学の大きな特徴は進路に合わせて選べる科目の豊富さと、他学科の科目も選択できるカリキュラムにあります。大東文化大学には未来の自分と出会うための「学び」があふれています。文化が交差する知の拠点として、深い教養をもった真の国際人の育成に努めています。
ところで、皆さんは、中学校・高等学校の間、新型コロナウイルス感染症の猛威に晒され、思うような学生生活ができなかったことも事実でしょう。未来に何が起こるのか。全く想像し得なかったことが突然襲い掛かってくる恐怖と失望に悩まされた日々もあったと思います。もしかすると、自分の思い通りの生活を送ることができなかった、数々の失敗で挫けたことも多かった、と過去を嘆くこともあったかも知れません。
しかしながら、今日この日から、皆さん一人一人が大東文化大学では主役なのです。大いに友と語らい、思い切り大学生活を満喫し、そして探求を重ね、学びを深めて下さい。皆さんの前には、未来行きと記されたカーペットが敷き詰められています。
「失敗が怖い」ですって?
京都大学iPS細胞研究所所長、山中伸弥教授のことは、皆さんもご存じかと思います。「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」により2012年のノーベル生理学・医学賞をジョン・ガードンケンブリッジ大学名誉教授と共同受賞したことはあまりにも有名です。その偉大な山中教授が「9回失敗しないと、なかなか1回の成功が手に入らない」「何が良いのか悪いのかすぐには分からない。一喜一憂せず淡々と頑張るしかない」という言葉を残しています。大学生活は、社会に巣立っていくための失敗できる期間でもあります。山中教授が仰っているように、失敗から学ぶことの多さと好きなことに全力を尽くすことのすばらしさは、これからの大学生活で皆さんが実感することになるでしょう。人生の中で最も美しい、有意義な時間。一生の友を得る大切な期間。これからのこの一瞬、一瞬を大切に過ごして下さい。
最後になりましたが、新入生の皆さん、私たち教職員をどうぞ頼りにして下さい。いつも皆さんの傍らで皆さんとこの四年間を歩んでいく所存でおります。さあ、スタートを一緒に切りましょう。
理事長祝辞・中込秀樹理事長
皆様、ご入学おめでとうございます。私、先ほどご紹介いただきました、当学園の理事長の中込です。保護者の皆様におかれましては大変お悦びだと思います。おめでとうございます。皆様が入学してお目にかかれたことをうれしく思います。おそらく高校時代、きちんとした対面式の授業が受けられなくてご苦労なさったことだろうと思います。ただようやく新型コロナウイルスの蔓延も乗り越えてこうして一同集まることができたことを何よりもうれしく思います。当学園は、ただいま、学長のお話でもありましたように100周年を迎えました。皆様は101年目の入学生という大変期待するべき学生となっております。3,000名以上の方をお迎えするということになりました。当学園はそれだけ100年を継続して卒業生を送り出しているわけですから素晴らしい卒業生を輩出しております。この間100周年を迎え、100周年の式典を行いましたけれどもやはり一同集まっての会はできませんでしたので、オンラインで行いました。ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、当学園の卒業生である歌手と本学の学生が校歌を歌いましたし、もうお亡くなりになりました桂米朝さんのご子息の方からご祝辞を賜りました。トンガの学生が現在活躍しており、その縁でトンガ国王からご祝辞をいただき、大変充実した100周年の式典でした。私も若干祝辞を申し上げました。これだけ年月を重ねるといろいろな卒業生に出会います。100周年では各界で活躍している卒業生をお招きして懇談会を開き、そこで交流したところ、どの方も大変すばらしく、各界に貢献していることがわかり大変頼もしく思っております。皆さんもこれから当学園で学び、卒業してからもいろいろな人に支えられその一員になっていく、このことが大変うれしく思います。今学長から山中伸弥さんのお話がありましたが、私も皆さんが入学に当たってこれから4年間、もしくは大学院生活において授業学習の時間を過ごすことになりますけれど、なんといっても一番の中心となる学びということです。新しい知識、新しい知見を自らのものにしてそれを糧としていくことの出発となります。今までも学ぶということを経験されていることと思いますが、改めて学びということはどういうことかもう一度この機会にお考えいただければと思います。私自身もたくさんのことを学んできましたけれど、やはり学ぶことで一番重要なことは一つの知見、一つの法則にもいろいろな基礎があってその基礎を積み重なってできているものです。学ぶということは一つ一つ自分を理解していくことです。それを積み重ねることで一つの決断となり、一つ一つを理解して初めてその結論が自分のものになるということです。その一つ一つの基礎、これが一つ一つ理解できていかないといけない、それが学びであるといえます。私は裁判官を長くやっており、裁判所の世界には「愚直」という言葉があります。「愚」は「愚か」、「直」は直接の「直」。「愚直あれ」という言葉があります。
裁判官の世界で一つ理想のあり方とされる言葉です。わかるまで飛ばさないで、納得できるまで時間がかかってもいいから理解しろ、読めということです。「愚直」という言葉があるということを認識していただいて、一つ一つの言葉が本当にわかるまで、自分の言葉で言える、あるいはその考え方を批判できるようになってください。どんな立派な先生が書いたものでもどこかでごまかしがあったりします。どこかでおやっと思うことがあります。そういったことで愚直に解決していってください。
皆様の全員が今日から充実した生活を送られ、無事ご卒業の日を迎えられることを願って私の祝辞といたします。
新入生宣誓
看護学科 小島 優芽さん
肌を刺すように冷たかった寒気も和らぎ、暖かな日差しに春を感じるようになったこの良き日に、100年の歴史ある大東文化大学に入学できることを、新入生一同大変嬉しく思います。
はじめに、本日は私達新入生のためにこのような素晴らしい式を挙行していただきましたこと、高橋学長を始めとする教職員ならびに関係者の皆様へ、新入生を代表して心より御礼申し上げます。
さて、今年の元日に発生した能登半島での大地震では、多くの方が被害に遭われました。心よりお見舞い申し上げます。今も尚、復旧作業が続いており、避難生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。また、この大地震に関する報道でこのような状況下での看護と介護の両立に苦悩しているという現状を知り、看護学科に入学する者として、医療従事者の方々へ尊敬の念をあらためて抱くと同時に地域医療の脆弱性を痛感しました。近年、地域医療の必要性が増してきています。私自身、地元の特別養護施設でのボランティア経験があり、その経験の中で医療・福祉・保健の連携が重要だと感じる場面が多くありました。また、本学でも地域医療に関する学びを取り入れています。そこで、私はこの大学生活で地域医療についての理解を深め、大学卒業後には一人の看護師としてこの国の地域医療に貢献したいと思います。
最後に、幅広い視野を持つ大東文化大学での4年間で、本学の「建学の精神」に基づいた学びの姿勢と学則を遵守し、未来に向かって日々研鑽に励み、更なる発展のために精進していくことを誓います。
アジア地域研究科 アジア地域研究専攻 上田 璃帆さん
厳しい冬の寒冷を超え自然の新たなる生命の息吹を感じながら、今日私達は大東文化大学大学院の学生となることができ大きな喜びを感じています。
また本日は、私達新入生のためにこのような素晴らしい式典を挙行して頂き、学長、理事長を始め、諸先生方、並びにご来賓の皆様に心より御礼申し上げます。
私は、より良い日韓関係に関する学びを深め、日韓の掛橋を目指すため本学の大学院への進学を決心しました。
丁度4年前、本学に学部生として入学してきた際は、コロナ真っ只中にありました。当時は入学式もできず入学して2年間はあまり大学に行くこともありませんでした。そのような学部生時代を過ごし、当たり前にある日々の大切さや小さな幸せに気づくことができました。こうして今、私はこの場に立てることに大きな喜びを感じています。これからもこの気持ちを忘れず、日々学ぶこと挑戦することの出来る環境があるということに感謝し、当たり前なことほど真剣に日々精進していきます。
また私は大学院での生活を通して、何事にも恐れず挑戦出来る人になりたいです。その為、積極的に行動を起こし日々向上しながら、本学の理念である、文化の創造・発展と人類の福祉に寄与出来るよう努めていきたいと思います。
最後になりますが、本学の大学院での研究の機会を頂き大変光栄に存じます。私達の前に広がる研究者としての道には多くの困難もあることでしょう。しかし、そのような困難すらも糧に邁進してまいります。これまで支えてくださった多くの方々、またこれから出会う人々への感謝を常に忘れることなく、今まで以上に有意義な研究生活を送ることをお誓い申し上げます。