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【2024年度学位記授与式】2,608人が未来へ帆を揚げる

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 2024年度学位記授与式が3月24日、東京都千代田区有楽町の東京国際フォーラム・ホールBで挙行された。
 卒業者・修了者総数は2,608人。学士課程2,566人(文学部582人、経済学部350人、外国語学部304人、法学部354人、国際関係学部192人、経営学部325人、スポーツ・健康科学部272人、社会学部187人)、博士課程前期課程・修士課程38人、博士課程後期課程4人。


 

学長告辞・高橋進学長

 本日、大東文化大学を卒業される各学部の皆さん。大学院を修了される皆さん。本当におめでとうございます。また、本日ご列席のご家族並びに関係者の皆様、そして教職員の皆様に心からお祝い申し上げます。


特に、ご家族の皆様の支えと深淵なる愛情は、本日卒業するご令息、ご令嬢にとっては、掛け替えのないものであったと実感しています。皆様の弛みのないサポートが、卒業生一人ひとりの成長と成功を支えてきたことに、心から感謝いたします。
また、教職員の皆様に深い感謝の意を表します。皆様の熱心なご指導と励ましが、学生たちの学びと成長を導いてきました。皆様の努力と情熱が、今日のこの晴れやかな卒業に結びついていることを忘れることはできません。
さて、本日は、皆さんに幸福について話しをさせて戴きたいと思います。様々な著名な学者が「幸福」について語っていることは皆さんもご存じだと思います。「幸福とは何か」「どのようにしてそれを手に入れるか」「そしてそれを維持するために何が必要か」、これらの問いは、私たちの人生にとって絶えることがない疑問と言っても過言ではありません。
幸福感は、単なる感情や一時的な満足感でしょうか。皆さんが、思いもよらぬプレゼントを得た時に持つ高揚感は、確かに一時的な幸福感を与えてはくれます。プレゼントといった外的報酬は決して永続的な幸福には繋がらないことは皆さんも経験してこられたことでしょう。内面的な充実感と持続的な満足感がなければ、本当の幸福感を実感することはないことも、既に皆さんはご存じでしょう。
ところで、アメリカ合衆国 の 臨床心理学者、カール・ロジャーズは、人間の成長と発展において自己理解と自己受容が重要であると主張し、幸福を追求するための一要素を示唆しています。
「自己理解と自己受容」にとって、自分自身を理解し、受け入れることが必至であると言えます。皆さんそれぞれに、他者にない強みがあるはずです。大学の4年間の長い旅路において、みなさんはその強みを見つけだしたに違いありません。そしてこれから、自分の強みを宝物として、社会の荒波に乗り出すことになりますが、その強みを否定することなく常に受け入れることで、皆さんがこれから挑戦する社会課題に対して、自信を持ち、課題を成し遂げることで自己成長を感じることができるはずです。そして、その達成感によって更に自己理解が深まり、他者との関係も豊かになります。皆さんは、唯一無二の存在です。自己を受け入れることは、幸福を感じる近道とも言えるでしょう。
幸福を考える時に、アメリカの心理学者エドウィン・ロックとカナダの心理学者ゲイリー・レイサムによって1960年代に提唱されたモチベーション理論についても非常に重要であると感じています。「意義ある目標の設定」の重要性についてロック等は提唱をしました。
皆さんの多くの方が、在学中に地域貢献や震災地や自然災害地でのボランティア活動を成し遂げてこられました。そして、それらを経験した皆さんは、「被災された方々のために役立ちたい」といった「意義ある目標設定」をされ、それを成し遂げることで、何にも代え難い達成感と満足感を得ることができたはずです。目標が達成されることで、人生に更なる方向性と自信が生まれたのではないでしょうか。充実感と人々への繋がりは、皆さんの幸福感を助長させたにちがいありません。
次に、オーストリア の 精神科医 、 精神分析学者 、 心理学者アルフレッド・アドラーの「他者とのつながり」と幸福感についての話をさせて戴きます。
一言で言ってしまえば「他者とのつながりを大切にすること」が幸福を齎すということになります。
人間は、元来、幼少期から、所属の欲求を持っています。例えば、皆さんも、サークルや部活動、ゼミに所属し4年間を過ごされた方も多いのではないでしょうか。気の合う友人と共に学び、共に遊ぶために定期的に集まりを開き互いの絆を深めても来られましたね。人は、時に支え合い、共感し合うことで、孤独感を減らし、心の安定を保つことができるのです。家族や友人、同僚との関係は、幸福感を高める重要な要素であることも皆さんは既に実感しています。
最後になりますが、フランスの哲学者アランの『幸福論』をご紹介します。
アランによれば、幸福になるためには「幸福になろうとする意志」が必要だと論じています。彼は、心と体の健康が幸福に直結するとし、積極的な行動と上機嫌でいることの重要性を強調しました。つまり、幸福を意識することの重要性を説いているといってもよいでしょう。日々の小さな喜びを見つけることや、感謝の気持ちを持つことが、幸福感を高める助けになるということです。本日の卒業式に際して、皆さんのご家族などに対しての感謝や恩師に対しての感謝に思いを馳せることで幸福に導かれるということでもあります。
卒業生の皆さん、以上にお示ししたように、自身の目的を明確にするとともに、幸福を意識してください。自分自身を受け入れるとともに他者とのつながりを大切にしてください。自ずと皆さんの未来が、希望と喜びに満ちた幸せなものになる筈です。


最後になりますが、皆さんの成長に常に寄り添い、皆さんを第一に考えて皆さんを支えてきた方々について、改めてこの場で考えてください。皆さんの親であり、家族であり、先生方であることは誰しも認識されていると思いますが、皆さんに注がれた愛情は、他に比較することができない、まさに永劫の愛なのです。
その愛情に報いるためには、本日皆さんにお話しをさせて戴いたように、皆さんが幸福を手に入れることなのです。
さあ、帆を揚げる時となりました。予測不能な社会へ漕ぎ出でなければなりません。時に嵐となり、時に大時化になるかも知れません。これからは皆さん自身が、その困難を受け止めなければなりません。勇気をもってスタートを切りましょう。皆さんにエールを送り告辞とさせて戴きます。

 

理事長祝辞・石井淳子理事長

 皆様、ご卒業、誠におめでとうございます。そして皆さま方を今日までいつくしみ、見守り、支え、育ててこられた保護者の方々のお慶びもひとしおのことと存じます。心よりお祝いを申し上げます。また、この場で皆様方を支えてこられたすべての関係者に対して感謝申し上げます。


 振り返りますと、皆様方が入学されたのは、まだコロナ禍がおさまっていなかった時期。入学された当初の頃は、描いていた学生生活、大学院生活とは異なったものになっていたと思います。しかし、徐々にコロナもおさまり、活動の制限も解け、友人、先輩、後輩、先生方と直接会って話す、対面できる喜び、奥深さ、素晴らしさを感じ、徐々に交流を深められていったものとご推察いたしております。こうした時期を過ごされたからこそ、リモートの便利さは感じつつも、リモートでは得られないもの、そうしたリモートでは得られないことの価値とか、尊さを心に刻まれたのではないでしょうか?制約が残る中にあっても真面目に学問に向き合い、究め、人との関係、人間関係を広げてこられた皆様ですから、大学に入学する前、大学院に進学する前の自分と比べて、学問だけでなく、人間として成長しているとの実感を得ているものと思います。

 

 さて、卒業しますと次の新たなステージが皆様を待っています。それぞれ道は違っても新たな世界に足を踏み入れることになります。おそらく、皆様は大きな期待と少しの不安を感じながら、この瞬間に身を置いておられるのではないかと思います。若い皆様にあっても、未知なる世界に対して誰しも少しは不安があるかと思いますが、この学び舎で学んだことは必ずや皆様方の支えになるはずです。どうか自信を持って臆することなく様々なことに挑んでいってください。

 

 ここで皆様の門出に際し、二つのことを申し上げたいと思います。まず一つは、皆様を待つ未来、社会はこれまで以上に変化が大きく、そのスピードが増していくであろうということです。ここ数年間振り返っても様々な社会の変化がありました。この先も同じかそれ以上と覚悟された方が良いと思います。皆様にはそうした変化にしなやかに適応していってほしいと心から願っております。皆様にはそれができるはずです。というのも、大東文化学園はその建学の精神が多文化、異文化とともに生きる、共生、ダイバーシティでした。このことを掲げて、大切に発展させて100年の歴史を刻んできました。異なるものへの理解、受け入れは皆様が得意とするものになっているはずです。変化や新たな展開を一つ一つ超えていく中で、生きていく上での力、対応方法の選択肢、いわば引き出しと言いましょうか、解決の糸口を見出す力が高まっていくはずです。

 
 もうひとつは、一つ目とも関係しますが、考える習慣を続けていただきたいということです。例えば人から言われたことをそのまま機械的に受け入れるということは時には必要かもしれませんが、自分の頭で考えることを心掛けていただきたいということです。よくあるのが「これまでそうしていたから」、「当たり前」というものです。いわゆる前例踏襲というものです。それは先人たちが経験から学び、調和がとれていることかもしれません。おそらくそれに従って行動すれば摩擦もなく楽なのかもしれません。ただ、世の中や人の意識が変化している今日、同じやり方でよいのか、このまま続けてよいのか、いったんは考えるということをしていただきたいのです。立ち止まって考える、自分の頭で考えて行動する、ということは重要だと思います。その積み重ねが皆様をさらに大きく成長させ、私たちが生きる社会を確かな、豊かなものにしていくことにつながると思っております。

 最後に、心を込めてもう一度申し上げます。皆様、本当におめでとうございます。皆様のこれからの人生が幸多いものとなりますことを願っております。母校である大東文化学園は皆様を、常に、そして、これからもずっと応援いたします。

表彰

学長賞には、レスリング2024U23世界選手権グレコローマンスタイル97kg級に出場した中原陸さん(社会経済)、2024テグ世界大学テコンドーフェスティバル男子63kg級で1位の成績をおさめた前田秀隆さん(スポーツ・健康科学研究科修士課程スポーツ・健康科学専攻)、2025ISU四大陸スピードスケート選手権大会チームパシュートで2位の成績をおさめた高橋侑花さん(英語学科)、第11回日展 第五科 書において入選を果たした新井唯真さん(文学研究科博士課程書道学専攻)の4名が代表して賞状を受け取った。

他にも、2024年度第29回全日本高校・大学生書道展(漢字)部門において大賞をおさめた木村美咲さん、宮﨑彩寧さん(ともに書道学科)、第11回日展 第五科 書において入選を果たした松井碧さん(書道学科)、2024テグ世界大学テコンドーフェスティバル女子49kg級で2位の成績をおさめた村上智奈さん(国際関係)が学長賞を受賞した。

 

卒業生代表挨拶

法学部政治学科:本澤健士朗さん

日差しが日一日と温かさを増し、春の訪れを感じる今日の佳き日、私たちは卒業の時を迎えました。入学した当初は、マスク越しの会話や画面の中の講義が日常でした。コロナ禍で始まった私たちの大学生活。直接顔を合わせる機会が限られていたあの頃を思うと、今日こうして集まり卒業を迎えられることが、どれだけ貴重で嬉しいことか、改めて実感しています。本日は私たち卒業生のために、このように盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。

 私は政治学を学びながら、現実の社会問題に向き合い、考える中で自分自身も成長し、大学生活が思い描いていた以上に充実したものになったと感じています。政治学科での学びは、社会の在り方を深く考え、その一員であることを自覚する機会を与えてくれました。議論し、考えを磨くこと、また実際の社会問題に目を向け、その解決に向けて何ができるのかを考え続けることができました。そのような大学生活の中で印象に残っているものの一つは、2年次に日本の安全保障をテーマとした政治学インターンシップで沖縄に現地研修にいき、遺骨収集の活動をされている具志堅隆松さんのお話を聴いたことです。今なお解決されない問題に声を挙げ、集い、平和のためのアクションを起こしている方であり、そうした姿はそれまでの生活の中だけでは知り得なかったものでした。同時に、私たちが未来に向けてどのような役割を果たしていくべきかを考え続け、より良い社会を築くために力を尽くす意義を深く感じることができました。

 その後、教職課程をとりながら社会科教育についてさらに知見を深めるべく、歴史教育者協議会などの研究団体が発行する教育機関誌に対して意見を寄せる立場から論考を読み込み、幅広い年代の人々と共に学びを深めて参りました。昨年は全国大会にも参加し、そこでは私の出身地である千葉県安房地域の歴史教育実践や、地域教材としての価値を新たに見出すことができました。教員という仕事は生涯にわたって試行錯誤を繰り返しながら、絶えず自己研鑽を繰り返し、教育され、成長し続けることが必要であると理解し、現場に立つための学びの土台を固めることにも専念することができました。また、管弦楽団での活動も私にとってかけがえのないものでした。そこで出会った先生方の音楽に対する姿勢に何度も感銘を受けました。そのような環境で様々な賛助の方々にもお力添えをいただき、団員とともに音楽をつくりあげることに熱中できたことは、何ものにも代えがたい経験であり、感謝しかありません。


 4年間の大学生活では、多くの人々とのご縁が生まれ、貴重な機会に恵まれました。教室という世界だけでなく、現実の社会で活躍される方々との出会いは私の視野を大きく広げ、学びをさらに深めるものとなりました。その中の出会いの一つひとつが、大学で過ごした時間をより充実したものにしてくれたと実感しています。私にとって大東文化大学という学舎はそうした出会いを繋いでくれた場所となりました。
私たちは本日をもって大東文化大学を卒業します。これから進む道には、不安や困難もあることでしょう。しかし、ここで得た学びを糧に、それぞれの道を力強く歩んでいきたいと思います。またいつか、それぞれの成長した姿で再会できることを楽しみにしています。


 最後になりますが、学長をはじめ、本学でご指導ご鞭撻を賜りました先生方、職員の皆様、常に支えてくれた家族、そして私たちを励まし、導いてくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。皆様の温かい支えがあったからこそ、今日この日を迎えることができました。大東文化大学のさらなるご発展と、教職員の皆様のご健勝、そして在校生の皆様の更なるご活躍をお祈り申し上げ、卒業生代表挨拶とさせていただきます。

国際関係学部国際文化学科:本田ほのかさん

厳しかった冬の寒さに終わりを告げるように暖かい日差しが降り注ぎ、春の訪れを感じられる季節となりました。本日は私たち卒業生のために、盛大な卒業式を挙行していただきまして、誠にありがとうございます。ご多忙の中、高橋学長をはじめとする諸先生方、ご来賓の皆様にご臨席を賜り、卒業生一同深く感謝申し上げます。


 この4年間の大学生活は瞬く間に過ぎていきましたが、多くの学びと多様な文化に触れ、大変実りのある期間であったように思います。
振り返れば4年前、元々興味のあった韓国の文化や人々の考え方を深く理解し、物事を柔軟に捉えられるようになりたいと考え、韓国語を専攻しました。2年次の現地研修では、韓国の文化を直接体験し、事前に学んでいた韓国特有の習慣を目の当たりにしたり、隣国である日本の文化との違いを感じたりする場面もありました。特に印象に残っているのは、韓国の郵便局で国際郵便の送り方が分からず困っていたとき、現地の方が手を差し伸べてくださったときのことです。英語や日本語も交えながら最後まで手伝ってくださり、人の温かさというものを感じました。世の中には国や地域、環境、人によってさまざまな文化が交わっていますが、人の温かさ、すなわち人への「共感」が異なる文化への理解につながるという学びを得ることができた出来事でした。
 また韓国語をはじめとする講義やゼミ活動、卒業論文作成など、友人たちと学び、お互いに高め合った時間はかけがえのないものとなりました。互いの意見を交換し、自分を見つめ直す機会を得られた非常に有意義な時間でした。


 4月からは社会人となりますが、新たな目標に向かい、自身の未来に期待する一方で、困難なことも待ち受けているかもしれません。大学生活で学んだことを活かし、人の温かさを忘れず、寛容な心をもってさまざまな文化に向き合える人になりたいです。
最後になりますが、本学でご指導を賜りました先生方、心身ともに支えてくれた家族、共に学んだ友人たち、サポートしてくださったすべての皆様に深く御礼申し上げます。大東文化大学の更なるご発展と、教職員の皆様並びにすべての関係者の皆様の益々のご活躍とご健勝をお祈り申し上げ、卒業生代表挨拶とさせていただきます。

校歌静聴

 司会進行は昨年度に引き続き、DHK(大東放送協会)が務めました。

学位記授与式の様子は、本学オウンドメディア「Daito Eyes」でも公開しています!