Graduate

【特別座談会vol.4】卒業生×現役生 受け継がれる「舞台」のバトン(1/2)

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卒業生の俳優 おかやまはじめさんと在学生の清木拓人さん、小川俊さんによるスペシャル座談会を行いました!

「皆で一緒につくる」楽しさ

―おかやまさんは劇団虚構のOBで、清木さん、小川さんは現役のメンバーですが、まず演劇に関心を持ったきっかけを教えてください。

おかやま 僕は演劇にはまるきり興味がなかったんですよ。人前に出るのもあまり好きじゃないし。昔から映画が好きで、撮影監督とかそういう裏方になりたいと思っていて、大学では最初に映画サークルに入ったんです。そのサークルにいた一人の先輩がやめて、劇団虚構をつくったのですが、メンバーが足りなくて「ちょっと照明を手伝って」と言われたのがそもそものきっかけになりますね。演劇はあまり面白いと思わなかったんですが、その先輩が「じゃ今度出演してみろよ」と言うんで「俺、出たらほかの人を食っちゃうよ」となんて茶化しながらもアトリエ公演に役者として参加したら評判が良くて(笑)。「はじめ、面白いじゃん」なんて言われると、褒められるのが好きな性格なので、劇団で活動を続けるようになりました。

振り返ってみれば、自分では決められない何かに突き動かされていたような気がしますね。あの先輩がいなかったら、あのとき声をかけられなかったら、たぶん今の自分はいないし、一つの縁が現在につながっているわけです。

清木 僕は高校で演劇部に入ったのですが、その演劇部のウリが殺陣ということで、以前剣道をやっていたこともあり、関心を持って演劇を始めました。そこから演技する楽しさを感じて、おかやまさんと同じく、皆で一つのものをつくり上げる充実感に惹かれて、どんどんのめり込んで大学も演劇部のあるところと決めていました。

おかやま その魅力は今も感じていますよ。演劇を仕事としてやっていますが、ある意味で未だに僕にとっては文化祭の延長にあります。文化祭のときにやっていて楽しかった、という思いをずっと持っていて、もちろんプロだからもっとシビアにはなっていますが、共同作業の楽しさが好きというのは根本にあるような気がします。

小川 僕は両親の影響で小学生の頃から舞台を観ていて、テレビなどの映像と比べたとき、舞台は決められた空間で、演じていく、見せていく、という点に不自由さを感じて、でもそれが考え方によっては自由に表現できるのかな、と思って、そこから特に演出に興味を持つようになりました。大学の演劇部で色々なことを経験していつか公演の演出ができたら面白そうだな、と思って入部しました。

おかやま 話を聞くと小川君はクリエーター気質なんだね、清木君はアクターなんだと思うな。


みんなで一つのことをつくり上げるのが楽しかった、それも大きかったですね。 おかやま


―劇団虚構ではどのような活動をしているのですか。おかやまさんの学生時代はどうでしたか。

おかやま 僕たちの頃はアトリエ公演と大東祭と、年末に当時池袋にあったシアターグリーンという劇場で外部公演がありました。夏は遊びがてら合宿にも行っていましたね。年3回公演があると、毎日次の公演に向けて稽古をしていました。僕らは既存の演目を演っていて「次はどうする」って感じで皆で話し合って役割含めて決めていきました。ただ学生時代を振り返ってまっさきに思い出すのは、毎日のように稽古後に飲みに行って、喧々諤々、芝居について話していたことです。当時はお金がなかったのによくあれだけ飲みに行けたと思う(笑)。

 今は怒っちゃいけない、批判しちゃいけないという時代だけど、僕らの頃は「お前あそこの芝居下手だよな」「なんであんなにつまらないんだ」なんて、一生懸命話していましたね。それはネガティブな批評じゃなく喧嘩しているわけでも傷つけているわけでもなく、ポジティブなコミュニケーションでした。そして議論を交わした翌日の演技がガラッと変わっていたりして。あの時間が一番楽しかった。ほとんど大学に通っているというより、演劇部に通っているという感じでしたね。よく卒業できたと思いますよ(笑)。

今はどんな感じで活動しているの?

清木 公演が年4回あって、一つ終わるとすぐに次の公演に向けて脚本、演出、役者を決めていきます。公演間のスパンが短いので忙しいですね。既成の脚本も演りますが新作を持ち寄って、それを検討したりもします。意見交換は居酒屋、ではなくて稽古場ですが(笑)。

おかやま 僕らは既成の脚本を演っていたけど、オリジナルを書ける能力があるのは凄いな。素晴らしいと思います。虚構はヒエラルキーがなくて、自由にできた。それが僕が続けられた一つの理由かも。クリエイティブな現場でヒエラルキーは邪魔になるよね。

小川 それは今も同じですね。先輩後輩の壁なく意見したりアドバイスしたりできています。すごく個性のある人間の集団で、それがまとまっていくのは大変だけど一つの醍醐味でもあると思います。僕は大東祭で演出補佐を担当させてもらって、その後、冬季公演では演者で出演したのですが、何をやっても面白いなって感じています。演劇の楽しさにどんどん気づいているっていう印象です。

おかやま 共同作業だから全部がつながっているんだよね。だから俳優は演出もできないといけないし、照明とか衣装についても分かっておいたほうがいいし、すべてが連携しているから、全部やることで引き出しは増えていくと思うな。

小川 高校のときはバレー部でしたが、3年の文化祭でクラス劇をやろう、ということになったんです。でもみんな、受験勉強もあるから準備に時間を取れないとなって、僕が多少関心もあったので脚本書いて、演出もして、美術や衣装も考えて、役者としても少し出演してといった形で、一人で何役もこなしました。大変だったけど、つくるのって楽しいな、と感じられる体験でした。

おかやま 最初にイイ体験をする、それも大切なことだよね。

演劇を通して得た自己成長

―学生劇団の魅力というものはどんなところにあるのでしょうか。

おかやま 学生劇団は4年しか在籍しないから、常に新陳代謝があり刺激があって面白いと思います。どんどん変化するし、同じ脚本でも年代で違う芝居になってくるしね。

清木 僕も脚本、演出、役者と3役やったことがありますが、大変さの一方でつくっていくことの楽しさを感じましたね。先ほどおかやまさんがおっしゃったように、虚構はヒエラルキーがないからお互いに思ったことを言い合って、より良い舞台にしていくエネルギーがありますね。また高校の演劇部では顧問の先生がいて普段の指導から公演会場の手配などすべての面で守られていましたが、大学では自分たちの手でつくり、進めることが求められるので、自立性が高まったと思います。

小川 これまで2回の公演を通して、伝えることの難しさを痛感しました。役者同士でも、演出家と役者との間でも、また観客に対しても自分の考え、思いを伝えるためにはどうしたらいいかを考えていくことで、コミュニケーション力が伸びたというか、普段の生活でも伝え方を意識するようになりました。

おかやま それは演劇を超えて人として大切なことだよね。

 僕の場合は大学で演劇に出会えたこと自体が財産だったけど、20歳から30歳くらいまではずっと自分探しをしていたと思う。僕の実家は料亭でその跡取りとして期待されていたけれど、俳優を辞めようとは思わなかった。

 親が悲しむと分かっていて辞めないその背徳感のなかでずっと悩んで、自分がどういう人間か考え続けていたね。30歳過ぎて朝ドラに出演したときに親が喜んでくたことで、すべて氷解して「役者を続けていいんだ」と思うことができた。演劇を通して自分を理解し、自己同一性を得ることができたんです。