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「人との縁」が道を拓いた―本学卒業生、社会保険労務士 味園公一さん

働き方の多様化や「ビジネスと人権」への対応など、現代社会における重要性がますます高まる「社会保険労務士(以下、社労士)」
その東京都のトップ(東京都社会保険労務士会会長)であり、全国組織の副会長も務めるのが、本学経済学部経営学科卒業生の味園公一さんだ。システム営業という現場から出発し、独自の哲学で道を切り拓いてきた味園さんに、激動のキャリア、キャンパスでの思い出、そして2026年5月に新たに立ち上がった「社会保険労務士大東会」への熱い思いを伺った。
「社長になりたい」少年の転身と、運を手繰り寄せた営業マン時代
卒業後はメーカーでのシステム営業職に。そこから社労士を目指された理由は?
子どもの頃から「社長になりたい」と言っていたことを思い出します。大東文化大学卒業後にシステム関連企業に就職した際、父親のアドバイスで「総務部門」を希望したことも、今思えば不思議な縁を感じます。というのも「総務部門」の仕事には「人事労務」という領域が含まれており、結果的に現在の社労士という職業につながっているからです。 ただ、最初は役員から「現場を知らないとダメだ」と言われ、システム営業職に配属されました。好景気の余韻もある中で泥臭くお客様を回る毎日でしたが、やがて「自分でビジネスをして独立したい」という思いが再燃し、先輩から「試験は一次のみで稼げる資格がある」と聞いて社労士を目指しました。
営業をしながらの受験は本当に苦労し、実務を学ぼうと社労士事務所の面接を受けたのですが、一度は「採用枠が埋まった」と断られました。しかし私に興味を持ってくれた代表の方が「採用を1年待ってくれないか」と言ってくれて、なんとその2週間後に「すぐ来てくれ」と採用の連絡が来たんです。私のキャリアは、本当にこうした「人とのご縁」と「運」でつながっています。
社労士は「接客サービス業」―お金をいただき、感謝される仕事
1997年に独立開業して、来年で丸30周年。社労士という仕事のやりがいを教えてください。
社労士は「先生」と呼ばれることが多いのですが、私は究極の「接客サービス業」だと思っています。通常、新しいスキルを身につけるには学校にお金を払いますが、私たちは報酬をいただきながら必死に勉強してスキルを積み、成果を出せば心から「ありがとう」と感謝されます。こんなにやりがいに満ちた仕事はありません。
ここで生きたのが、ビールの注ぎ方や接客の基本を徹底的に叩き込まれた営業職での経験です。「相手を気遣う姿勢」があったからこそ、経営者の信頼も得られたのだと思います。現在は法人化し、大学在学中に社労士試験に合格した長男が実質的に業務を回してくれているおかげで、私は東京都の会長や全国の副会長としての業務にも集中できています。
キャンパスで培った「柔軟性」と、セーフティネットとしての「社会保険労務士大東会」
大東文化大学での学生時代と、新たに立ち上がった「社会保険労務士大東会」への思いをお聞かせください。
当時は東松山キャンパスの周辺に地方出身の仲間が集まり、授業も遊びも常に行動を共にしていました。ラグビー部の選手と同級生で、留学生とも一緒にそろばんを習ったり、正月には級友と国立競技場へ応援に行ったりと、活気に満ちた時代でした。あの肩肘張らない「居心地の良さ」の中で培われた、誰とでも泥臭く付き合える柔軟性こそが、私の最大の武器です。
社労士は一人で開業するケースが多く、孤独になりがちな職業です。だからこそ、同じ「大東文化大学」というルーツを持つ仲間が腹を割って悩みを相談できる「心強いセーフティネット」が必要だと感じ、「社会保険労務士大東会」を立ち上げました。会議や勉強会の後には必ず宴会をセットにして(笑)、「何でも聞いてくれたら答えるよ」と言い合える温かいネットワークが、これから社労士を目指す後輩たちにとっても大きな希望になれば嬉しいです。
新時代を生きる後輩たちへ―「周りのハッピーが、巡り巡って自分のためになる」
最後に、これから社会に出る学生に向けてメッセージをお願いします。
AIの発展で社労士をはじめとする士業の仕事がなくなると言われることもありますが、社労士の本質は、人が絡む千差万別のトラブル等を未然に防止し、労使双方が安心して働ける職場環境を作る「人と人との架け橋」です。多岐にわたる経験に基づく判断は、絶対にAIだけでは代替できません。
私たちが報酬をいただくお客様である経営者をハッピーにし、そこで働く労働者の皆さんをハッピーにする。そのために必死に努力して周りをハッピーにした結果が、巡り巡って「自分自身の成長や報酬(ハッピー)」として返ってくる。つまり、「周りをハッピーにすることが、最大の自分のためになるんだ」ということです。今の若い世代はコミュニケーションに少し苦手意識がある方も多いかもしれませんが、この発想を持っていれば、誰もがハッピーになれる。大東文化大学の後輩たちには、泥臭くてもいいから、自分の人生を自らの手で切り拓くバイタリティを持って、社会へ羽ばたいていってほしいと願っています。

【味園 公一(みその きみかず)さん プロフィール】
1966年千葉県生まれ。本学経済学部経営学科卒業。メーカーでのシステム営業職を経て、1996年社会保険労務士試験合格。1997年に独立開業し、2017年に法人化。現在、東京都社会保険労務士会会長、全国社会保険労務士会連合会副会長を務め、業界の発展と社労士の地位向上に尽力。また、2026年5月設立の「社会保険労務士大東会」役員として同窓のネットワーク強化にも熱を注ぐ。