こんにちは。国際関係学部国際関係学科3年のR.Tです。私は協定校留学制度を利用し、2024年の8月からインドネシアにあるパジャジャラン大学に留学しております。
最終回となる本レポートでは、留学生活、ラマダン期間、バティック学習の様子についてお伝えできればと思います。
私は今学期から語学クラスを終え、現地の学部授業に参加するようになりました。インドネシア人学生と同じ環境で学ぶことは非常に刺激的であり、日々多くの学びがありますが、その一方で語学力の壁にも直面しました。授業内容を理解するためには、その場で語彙を調べたり、友人に確認したりと、常に主体的な姿勢が求められました。そうした努力を重ねるなかで、専門的な知識だけでなく、文化への理解も深まり、自己成長を実感することができました。特に、現地の学生たちはとても親切で、わからないことがあれば丁寧に教えてくれるなど、多くの場面で助けられました。学部授業に参加できたことは、学問的にも人間的にも私に大きな影響を与えてくれた貴重な経験でした。
また、今年の3月には、イスラム教徒にとって最も神聖な期間であるラマダン(断食月)を現地で体験する機会がありました。ラマダン中は、日の出から日没までの断食を通して、精神的な修養や自己節制、さらには貧困への理解を深めることが目的とされています。この期間、大学の授業時間は短縮され、街の飲食店も布で目隠しがされるなど、町全体がラマダン仕様に変化していく様子を間近で見ることができました。夕方には断食明けのために多くの人が町に集まり、マグリブ(夕方)のアザーンとともに断食が解かれる瞬間は、宗教文化の奥深さを感じる非常に印象的な場面でした。私も現地の方のすすめで、段階的に断食に挑戦し、最終的には1日断食を達成しました。特に喉の渇きは大変でしたが、それ以上に多くの学びや気づきがあり、異文化理解を体感する貴重な経験となりました。
さらに私は、インドネシアの伝統工芸であるバティック(ろうけつ染め)の技術習得にも取り組んでいます。現在は西ジャワ州チルボンにある工房に通い、現地の職人の方々から直接指導を受けています。最初はチャンティン(蝋を布に描くための道具)の扱いも難しく、思い通りに線を引くことすらできませんでしたが、オーナー夫妻や職人の皆さんの丁寧なサポートのおかげで、下絵、蝋描き、染色、そして蝋落としに至るまでの工程を一通りできるようになりました。細やかな模様を描く「イセン」や、広い面を覆う「テンボック」などの技法を学ぶ中で、バティック文化の奥深さに触れることができました。最近では、少しずつ自分のイメージ通りに模様を描けるようになり、自身の成長を実感しています。このバティック学習を通じて得た経験は、私にとって非常に意義深いものとなりました。帰国後も引き続きバティックについて学びを深め、自身でも制作を続けていきたいと考えています。将来的には、日本とインドネシアをつなぐ形で、バティック文化の魅力を多くの人々に伝えられるような活動にも関わっていければと願っています。
このように、1年間の留学生活はあっという間に過ぎようとしています。言葉が通じず、住居探しや学業に苦労した時期もありましたが、振り返ってみると、それら一つひとつの経験が私を支え、成長させてくれたと強く感じます。なかでも、「まずは挑戦してみること」、そして「継続すること」の重要性について身をもって学ぶことができました。インドネシアという異文化の中で得た経験は、間違いなく私の人生にとってかけがえのない財産です。イスラム教やインドネシア文化、バティックについて深く理解できたことは、今後の人生やキャリアにおいても大きな意味を持つものになると確信しています。
また、インドネシアの人々の温かさも、私にとって忘れがたい大きな印象の一つです。たとえ知り合いでなくても、困っている人がいれば自然と手を差し伸べるその姿勢には、何度も励まされ、心を打たれました。そうした人々との交流を通して、この国の文化的な豊かさと寛容さを肌で感じ、ますますインドネシアという国に惹かれるようになりました。将来、何らかの形でこの国と深く関わりを持ち続けたいと強く願っています。
このように充実した留学生活を送ることができたのは、多くの方々の支えがあってこそです。残された留学期間もわずかとなりましたが、これまで出会ったすべての方々への感謝を胸に、最後まで実りある時間を過ごしていきたいと思います。