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レポートアジア・ヨーロッパ圏

【インドネシア】パジャジャラン大学

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インドネシアのバンドンという地域にあるパジャジャラン大学に1年間協定校留学している国際文化学科3年の吉川 友樹です。私は昨年の2019年9月にインドネシアへ来たので、こちらでの生活を始めてから9か月が経ちました。今回は皆さんにインドネシアのことを知ってもらいたいという想いでこのレポートを書かせていただきます。また、これから日本から海外に留学したいという方も読んで、留学生活や海外生活をイメージする材料として参考にしていただければと思います。
また、一つ断っておきますがインドネシアという国はインドネシアの中でも地域によって様々な生活様式や文化を持つ国であるので、私がこのレポートで言うインドネシアというのは私が留学しているバンドン、またその地域の属するスンダ地方の視点から見たインドネシアということになります。

 

 

留学を始めたばかりのとき
私がパジャジャラン大学での留学のためにインドネシアへ来たのは私が2年生の後期のときです。大東文化大学に入学してから初めてインドネシアに触れて、勉強を始めたのでインドネシアのことを学び始めてからたった1年半という時に私にとっては未知のインドネシアという国に飛び込んだということになります。1年半、大東文化大学でインドネシアのことを勉強していたとはいえ、やはり実際に現地に来るとイメージしていたこととは違うことや新たな知ること気づくことが多くあります。例えば、私がインドネシアに来て驚いたことは「アザーン[Azan]」です。アザーンとはイスラム教徒の義務である1日5回のお祈りの時間を知らせるためにイスラム教の宗教施設である「マスジッド[Masjid]*」から流される放送のことです。これはインドネシア特有の文化というわけではありませんが、イスラム教徒が国全体の人口に対して80~90%を占めるインドネシアでは生活の一部になっている文化のようなものです。日本の感覚で言うと、夕方に外で遊んでいる子供たちに向けて帰宅を促すように流される地元の防災無線に似ていると思います。インドネシアではお祈りの時間になるとアラビア語で「お祈りをしましょう」という内容のアザーンの放送が町中に響き渡ります。私が初めてインドネシアでこのアザーンを聞いたときはこのように特定の宗教色が強いものがインドネシアでは当たり前のように日常に溶け込んでいることに驚きましたが、インドネシアの人々はこのアザーン、即ちお祈りの時間に合わせて生活をしています。
これは一例ですが、このようにインドネシアに来て日本にはない文化や生活のスタイルを知ることがあります。その今まで知らなかった文化や生活スタイルを知り、その良いところを見つけて自分の生き方に活かすことが出来る。これが留学や異文化交流によって得られるものだと思います。

 

 

パジャジャラン大学での生活
パジャジャラン大学では文化を学ぶ学部の留学生クラスで授業を受けています。留学生クラスなのでクラスメイトはマレーシアやタイ、中国、韓国からの留学生のみですが、先生は全員インドネシア人の先生です。授業は月曜日~金曜日の週5回行われ、主にインドネシア語の文法や表現、またインドネシアについて説明したインドネシア語の文章を読むというような内容です。数年前にキャンパスの移動があったため、現在私が通っているキャンパスには同年代のインドネシア人学生はいないのですが、他のキャンパスに行くと様々な学生と交流することができます。私はよく他のキャンパスに行って、日本を勉強する学科のインドネシア人学生と交流をしています。

 

 

私は大東文化大学で應援團に所属しているので、大学に行く日は毎日学ランを着ているのですが、このイベントでは私以外にも学ランを着ているインドネシア人の学生(右上の写真)がいました。どうやら日本のアニメの影響で学ランはインドネシアでも日本の学生制服として知られているようで、この学ランはインドネシアの古着市場で売られていたとのことです。
後日、私もその古着市場に行ってみました。すると、日本円にして700円くらいの学ランが数着売られていて、内ポケットを確認すると実際に日本にある高校の名前が入っていました。なんと、日本で実際に着られていた学ランが何故かインドネシアまで持ってこられて売られている、本物の日本製の学ランであるということが分かりました。

 

 

ラマダン(断食月)の生活
先月、イスラム教徒の義務の一つである断食(Puasa)が行われました。私はイスラム教に改宗するつもりはありませんが、イスラム教の理解を深めるために自主的にこの断食に参加しました。皆さんは断食と聞くと一日中食事をしないということを想像されるかもしれませんが、実際はそうではありません。ラマダンにおける断食は太陽が出ている間、時間にすると日の出にあたる朝4時頃から日没の夕方6時前頃までに行われます。また、日本語にすると断食と訳されていますが、本来の断食を意味する「Puasa」という言葉は食事を断つ「断食」だけではなく水分も口にしない、人の悪口を言わない、怒ってはいけない、性行為や自慰行為をしない、性的なポルノ画像や映像を見ないといった一切の欲を断つというニュアンスがあります。これは人によるかと思いますが、私は実際に参加してみても特に断食が辛いといったことはありませんでした。また断食によって食事をしないと聞くと合理的でないと感じる人もいるかもしれませんが、欲を断つという思想だと捉えると、日本でも信仰されている仏教と共通する考え方があるのではないかと感じました。

 

 

休日の過ごし方
私の留学しているバンドンという地域は周囲が山に囲まれていて比較的涼しいため、日本でいう軽井沢のような避暑地でもあり、インドネシアでは有名な観光地です。首都のジャカルタから距離にして150km、車で5時間ほどのところにあるにも関わらず、休日はジャカルタを始めとする様々な地域から観光客が訪れてきます。私も休日になるとよくバンドンの観光地を巡っています。

 

 

写真はバンドンの北側に位置するタンクバン・プラフという山を観光したときのものです。このタンクバン・プラフはその昔、大きな船がひっくり返されてできた山という伝説もあり、古くからバンドンの人々に親しまれてきた山の一つです。この時はインドネシア人の友達とオランダからの旅行に来ていたオランダ人の3人組と一緒に観光しました。
余談ですが、このオランダから来た3人は私のインドネシア人の友達が電車に乗っていた時にたまたま近くに座っていたところを仲良くなって一緒に観光することになったとのことです。インドネシアは昔、オランダに植民地支配されていましたが、オランダ人を含む白人が好きな人が多く町中で白人系の人が歩いているとまるで有名人が来たかのように人が集まってきて一緒にセルフィーを撮るほどです。私の友達がこの3人と仲良くなって一緒に旅行に参加するというのが、いかにもインドネシア人だと感じました。

 

 

最後に
私の留学も残り僅かとなりました。現在はCOVID-19の影響で道路や交通がロックダウンされていて、感染を予防するためにも外に出ない生活をしています。しかし、家にいても今できることをして、この留学を最大限に生かし、悔いの残らないものにしたいと思います。

 

 

 

日本語学科の学生が主催のイベントに参加したときの写真

日本語学科の学生が主催のイベントに参加したときの写真

日本語学科の学生が主催のイベントに参加したときの写真

同じコス(日本の賃貸アパートのようなところ)に住んでいる大学教授と断食明けにコーランを読んだ時の写真です。

バンドンの北側に位置するタンクバン・プラフという山を観光したときの写真

バンドンの北側に位置するタンクバン・プラフという山を観光したときの写真