Education & Research

地域経済の活性化─ 地域ネットワークのデザイン ─

日時
2005年10月27日(木) 13時~17時
内容
地域経済の活性化─地域ネットワークのデザイン─
基調講演
植田浩史 大阪市立大学大学院創造都市研究科教授
パネリスト
植田浩史
大橋俊夫 インダストリーネットワーク研究会代表
小島大介 日本琺瑯釉薬株式会社代表取締役社長
木村文夫 (財)新潟県県央地域地場産業振興センター事務局長
コーディネータ
上遠野武司研究員
会場
大東文化大学板橋校舎 多目的ホール
主催
大東文化大学経済研究所(共催)

2005年10月27日(木)13時より、大東文化大学経済研究所主催の第25回経済シンポジウム「地域経済の活性化―地域ネットワークのデザイン―」の共催として、区民・学生など約130名が参加し、花輪宗命研究員の司会で第2分科会公開講座が開かれました。

中村年春・大東文化大学経済研究所長の開会挨拶に続き、昨年度まで研究員でもあった和田守・大東文化大学学長から「地域デザインフォーラムは地域に根ざしながら国際社会にも寄与していく事業であり、大東文化大学は地域と連携していく大学でありたい」と挨拶がありました。

引き続き、「地域産業の再生─産業集積をどう生かすか─」をテーマに植田浩史・大阪市立大学大学院創造都市研究科教授の基調講演に移りました。植田教授は、大阪府下の産業調査に携わった経験から産業集積をキーワードに、大田区・墨田区に次ぐ東大阪市の実態を中心に1時間にわたって講演していただきました。講演の概要は、次のとおり。

第2分科会公開講座の様子

1980年代から注目され始めた産業集積は、現在、グローバル経済やアジア諸国の工業化、「国内完結型」生産構造の終焉、高齢化社会など社会構造の変化、産業構造の変化など、環境の変化に伴い「縮小」時代にある。特に集積地域のほうが減少割合が高く悪い状況にあった(1990年代)。戦後最大規模で実施された「大阪市製造業実態調査」から、従業員4人以下の事業所の約4割が近い将来に廃業を予定している。この背景には、高度成長期(1956年~1975年)に創業した事業所が5割近くあり、創業者が経営者として残っている割合が高いことにある。また、ネットワークや産学連携への意識や関心が低いという結果も出ている。「縮小」時代の政策に変更が必要であり、また今後は、地域の将来像とそのなかでの地域産業という「地域経営」の視点から産業集積の位置付けをどうするのか、集積のメリットを生かした対応の可能性を探る必要がある。

休憩後、上遠野武司研究員をコーディネータに、産学公各界から植田教授のほか、大橋俊夫氏(インダストリーネットワーク研究会代表)、小島大介氏(日本琺瑯釉薬株式会社代表取締役社長)、木村文夫氏((財)新潟県県央地域地場産業振興センター事務局長)によるパネル・ディスカッションがおこなわれました。

パネリストから現在の活動やその参加経緯について説明があった後、「地域が抱える問題」「既存産業への支援、事業者の取り組み」「企業の立場からの人的資源」「企画力をもった人材育成」「効果的なネットワークの構築」「産業振興ビジョン策定へのアドバイス」などについて、意見や持論などが提示されました。

質疑応答では、多くの質問が出され、予定した時間を超過する盛況ぶりで、テーマへの関心の高さがうかがえました。シンポジウム終了後、交流パーティーが開かれ、意見交換がおこなわれました。