Education & Research

行政評価制度の運営と実態

日時
2005年11月4日(金) 15時~17時
内容
行政評価制度の運営と実態
講師
  • 横須賀市企画調整部企画調整課
    課長 井手之上 修
    同課総括主幹 野間 俊行
  • 練馬区企画部経営改革担当課
    経営改革・行政評価主査 藤田 光威
    同課主任主事 島添 悟亨
会場
板橋区職員研修センター(情報処理センター5階)

2005年11月4日(金)15時より、市民や学生、区職員など約30名が参加し、第1分科会公開講座「行政評価制度の運営と実態」が武田知己研究員の司会で開かれました。

東田親司研究員による第1分科会の活動と公開講座の趣旨についての説明後、横須賀市・練馬区それぞれの行政評価の取り組みについて解説・説明していただきました。

第1分科会公開講座の様子①

まず、横須賀市では、平成11年度から外部評価に近い取り組みを、平成12年度から行政評価に関する取り組みを開始しました。平成14年度には事務事業評価と政策施策評価それぞれの結果を統合した統合評価を導入し、この3つの評価全体を「行政評価システム」として、市の総合計画の体系にあわせて予算・人員などと連携するものとなっています。まず、部局担当者による1次評価(事務事業評価)と全庁的な行政評価プロジェクトチームによる再評価/2次評価(政策施策評価)により内部評価がおこなわれます。その後、まちづくり評価委員会による再評価/外部評価(3次評価)を経て、評価結果が予算・計画などに反映されるという仕組みになっています。

外部評価は、公募市民・学識経験者・市民団体代表により構成(各同数)されるまちづくり評価委員会が担いますが、アンケートなどでは捉えきれない状況などをまちづくり市民コメンテーターを活用し、市民との距離を縮めるよう配慮しています。評価委員会委員の公募には、定数の倍近くの市民から応募がありますが、コメンテーターがその予備軍にもなっています。
また、評価結果・データなどすべてをホームページ上に公開し、概要・詳細・原票の3種を閲覧できるようにしているほか、結果を色分けして一目でわかるよう工夫しています。

続いて、練馬区から報告がありました。練馬区の行政評価は、行政改革の一環という位置付けで、その評価表のなかでISO14001の項目を採り入れていることが特徴です。また、昨年度に第三者評価委員会を設置しました。これにより、成果指標の設定では、これまでの合理性・納得性・容易性・安定性・普遍性という内部評価の視点に、重要性・代表制・特性反映という視点を追加しました。しかし、指標は多くあるべきと考えていますが、評価表に記載する際にはできる限りしぼり少なくする必要性があります。
施策評価による総合評価の推移をみますと、平成14年度と平成16年度では「良好に進んでいない」が「良好に進んでいる」と逆転し割合が高くなってしまいました。成果が上がらなかった理由として、施策が時代に合わなくなっていることが考えられます。同時に、5年先を見ることが難しく、時代の変化を予測することが困難であるということも考えられます。

第1分科会公開講座の様子②

新長期計画に行政評価を取り入れました。組織内部的には、評価制度を定着させるために、ファシリテータという行政評価の推進・調整・問題解決を担う者を育成するため、若手職員を中心に研修の一部になっています。横須賀市と同様に、第三者評価委員会は学識経験者・実務経験者・公募区民で構成し、各区分から4人ないし5人が選出されています。新長期計画のパブリックコメントで、行政評価の指標や数値に関する意見が少なく、区民に行政評価が浸透していないのではないかとの声が出ています。

両区市からの報告後、質疑応答に移り、区職員や研究員からは行政評価制度の技術的な点について多くの質問が出されました。その一方で、区民からは「専門的で難しすぎる」と検討すべき課題も出されました。