Education & Research

区民参加の推進と協働による地域づくり

概要

2005年12月16日(金)

基調講演(10時30分~12時)

テーマ
今、自治体で起こっていること
講 師
日本経営協会 関山祐介氏
会 場
大東文化大学板橋校舎 多目的ホール

研究成果報告(13時00分~17時15分)

内 容
研究成果報告(各分科会)
報告者
花輪研究員(第3分科会)
富澤研究員(第2分科会)
武田研究員(第1分科会)
首藤研究員・真崎研究員(第4分科会) 報告順
会 場
大東文化大学板橋校舎 多目的ホール

地域デザインフォーラムは10時半より、東田親司研究員(大東文化大学法学部教授)の司会で開会されました。午前は、和田守・大東文化大学長の挨拶後、(社)日本経営協会自治体経営研究所研究員の関山祐介氏による基調講演、午後は、各分科会による第三期最終報告へ向けた研究中間発表がおこなわれました。

まず、地域デザインフォーラムの生みの親というべき和田学長から挨拶がありました。和田学長は「6年前に発足した地域デザインフォーラムは、現在、第三期2年目に入っております。発足時、法学部長として推進役となり、企画を立てましたので、感慨深いものがあります」と当フォーラムの設立経緯を振り返り、現在のお立場から「大学は国際社会・地域社会との関係を築いていかなければなりません。とくに、地域社会との関係は、根に当たるもので、学生も強いつながりをもっています。現在、地域社会が政治的問題となっています。分権型社会となり、単に行政だけではなく、地域の団体などとのパートナーシップ(=公共空間)をつくっていく必要も出てきております。大学はその重要な役割を担っています」と共同研究の意義を示されました。最後に「今日一日、有意義な会となることを心より期待しております」と挨拶があった後、引き続き基調講演に移りました。

基調講演

2005年12月16日(金) 10時45分~12時

テーマ
今、自治体で起こっていること─行政経営の実態と課題─
講 師
(社)日本経営協会自治体経営研究所研究員 関山祐介氏
会 場
大東文化大学板橋校舎 多目的ホール

関山祐介氏((社)日本経営協会自治体経営研究所研究員)から1時間15分に亘り、「今、自治体で起こっていること─行政経営の実態と課題─」をテーマに基調講演を頂きました。関山氏は、平成6年に日本経営協会に入られ、自治体の経営改善、人事管理、組織定員管理などを中心に研究活動をされています。また、『自治体資源ファイル』など著書も多数ございます。

関山祐介氏((社)日本経営協会自治体経営研究所研究員)

関山氏は、「行政の経営を今よりよく」と、ご自身の仕事の内容を紹介され、仕事を通じて感じたことや目にしたことを具体的な事例を挙げながら、行政の問題点や課題を示されました。
まず、グローバル化してきている日本社会について、統計を示しながら、「今、就職難と言われているが、地方では工場や生産拠点がないところが多いため、若い人は、働く場を求め都市に出て来る。でも、都市では土地の取得や維持管理が難しい。工場を作るとなると中国など海外へ移っている。だからなかなか働く場がない」と、経済と就職難の関係を説明されました。さらに、「外国人登録者はバブル期より多くなっているし、企業も国際化が進んでいる。でも、日本は、外国人を外したり、新しい発想を外して考えがち。国際化はものすごく進んでいるのに、あいかわらず国内の慣習や感覚、前例踏襲だけで議論するという構図がみられる。そうではなく、国際的にも対応できるよう合理的に物事を進行しないといけない」と、変化の必要性を訴えかけました。

行財政でみると、「国・地方には763兆円の借金がある。世帯で分けると借金は1600万円にもなる。お金がない状態が今の日本。これまで、中央集権型で北海道から沖縄まで平等・公平・均衡とやってきたことは、日本が努力してきた良い点だが、国が借金を負いすぎれば、国際的にも信用がなくなる。だから、一定の社会インフラが整備された現在、投資の集中化で少ないお金を有効・効率的に使うことを考えないとならない」と、行政改革の必要性を主張されました。

基調講演の様子

「行政改革には5つのポイントがある。そのうち最も重要なのは行政評価。すべての改革改善の基盤・基礎になる。何かをしたらチェックし、改善点を探すということが重要。どういうふうにやれば喜んでもらえるか、喜ばれるためにはどうするか、コストや効率性はどうかを考えないといけない」と語り、また、ある役所の事例として、窓口の職員の対応が悪く怒った住民に、後から、あざやかに対応して住民を納得させた管理職の方が『やれ広報だ・伝えたはずだなどの形式論より、まず、自分がすぐに動く。住民に誠実に接すれば、住民も応じてくれる。それが有効性と効率性につながる』と頑張っている話をされました。

自治体でも、矢祭町やニセコ町、太田市、東海村、富士宮市などいい例はいくらでもあるが、自治体や職員個人はもちろん、なんでも役所任せという感覚の住民自身の意識改革もポイントになっていると話されました。
最後に、「人に与えられた時間は誰もが同じ。縦軸を24時間、横軸を平均寿命80歳としてタイムテーブルを書き、自分が自由に使える時間を一度描いてみてください」と、すぐに過ぎていく人生の時間の中で毎日目標を定めて努力することの重要さも語られました。