Education & Research

第3期研究成果報告会

日 時
2006年5月24日(水)16時30分~18時30分
テーマ
地域デザインフォーラム報告会
会 場
大東文化会館ホール
第3期研究成果報告会の様子①

地域デザインフォーラム(第三期:2004-05年度)報告会は、2006年5月24日16時30分より大東文化会館ホールにおいて、東田親司研究員(大東文化大学)の司会で、板橋区民、区職員、大東文化大学教職員、学生など180名超が参加して開催された。
各分科会の報告に先立ち、石塚輝雄・板橋区長、本間修・大東文化大学地域連携センター長から開会のあいさつがあった。石塚区長は「政策評価と産業振興の分科会の研究は、行政評価委員会での検討や産業基本条例の制定という形で、実践に結びつき大きな成果を挙げています。住民参加は、いたばし総合ボランティアセンターの設立に寄与し、全国からも注目を集めています。また、区の生涯学習では大東文化大学をはじめ区内5大学から多くの教員を派遣して頂いており、コミュニティ・カレッジの構想は今後の政策課題のひとつとなるものです」と第三期の研究成果に高評価を与えた。「第四期の危機管理、少子化、元気なまちづくりという3テーマも変化している区政に反映されることを期待します」と新たな研究体制への期待を示した。本間センター長は、地域デザインフォーラムの運営が今年度新設された地域連携センターに移管された経緯と、同センターの特徴について説明があった。

石塚区長と本間センター長のあいさつに引き続き、第2分科会「産業振興」、第3分科会「住民参加」、第4分科会「コミュニティ・カレッジ」、第1分科会「政策評価制度」の順で研究成果の報告がおこなわれた。

第2分科会「産業振興」からは、上遠野武司研究員(大東文化大学)と相田治昭研究員(板橋区)による報告があった。まず、上遠野研究員により、第三期最終報告『地域の産業振興』の位置付けについて、「過去2期の地域デザインフォーラムでの産業政策に関わる研究を基礎に、政策の実効性を高めることにあります」と説明があった。それを踏まえ、検討すべき基本課題や社会的背景など研究上、共通認識すべきバックグランドについて説明があった。続いて、相田研究員から、板橋区の工業振興にしぼって具体的な研究成果の報告があった。工業統計などから「板橋区は工業が盛んで、将来的ポテンシャルが高い地域」にあり、「地域ネットワークの形成・連携を図ることで、ポテンシャルを高めることができます」。また、「都市政策と産業政策の連携などを伴ったゾーン別プロジェクトを推進することにより、工業集積の基盤を強化することもできます」と。

引き続き、第3分科会「住民参加」からは、渡邊茂研究員(板橋区)による『協働社会の実現に向けて』の各章の詳細な内容報告があった。各方面で多用される「協働」という語の概念の再確認、その原則・事業などの整理、板橋区での協働のしくみと位置付け、NPOと区職員へのアンケート調査の結果などが報告された。板橋区では基本構想のなかで「新しい公共」が提唱され、その実現のために協働の構築が不可欠とされたことから、最終報告では具体化へ向けてのプログラム制定の必要性が提起された。4月に開設した「いたばし総合ボランティアセンター」の今後のあり方・課題にも言及した。また、NPOと区職員へのアンケート調査の結果、互いの意識の違いが明らかとなったことが紹介された。

第3期研究成果報告会の様子②

第4分科会「コミュニティ・カレッジ」からは、首藤禎史研究員(大東文化大学)と松田玲子研究員(板橋区)により『板橋コミュニティ・カレッジ構想』でおこなった検討内容について報告があった。首藤研究員からは、第二期から研究されてきた関連テーマ、短期大学設置基準と1991年の同基準改正の背景などの説明があった上で、同基準を満たした区立のコミュニティ・カレッジとしての組織のあり方、とりわけ組織編制に着目して報告がなされた。松田研究員からは、区立コミュニティ・カレッジ(短期大学)を設置した場合の、運営方式や施設、教員や事務組織、授業料や維持管理経費、学生の対象、カリキュラム(地域総合学科)などについて具体的に示された。また、最終報告の補足説明もなされ、「設置基準に準拠することが原則ですが、特区など規制緩和が進めば、弾力的に対応できる可能性もあります」と。

第1分科会「政策評価制度」からは、杉谷明研究員(板橋区)と武田知己研究員(大東文化大学)が報告をおこなった。杉谷研究員は、板橋区における行政評価制度の概要および政策指標のあり方と設定困難性について、「板橋区では事務事業評価をおこなっているが、有効な方法をめぐっては試行錯誤の段階にあり、また指標設定も難しく、外部評価機関から適切でないものもあると指摘されている」と。また、武田研究員からは、自治体調査をおこなった経緯から、「アンケート調査の実施や、直接担当者と会いヒアリングをおこなったことが特徴です。改善するために調査するということは全国的にも稀なケースです」と2年間の分科会での研究調査活動の総括があった。その上で、政策評価の意義として、①常に改善の必要性、②地域に適した制度の導入、③住民参加の必要性の3点を挙げた。

4分科会の報告後、質疑応答に移り、第3分科会に対して「NPOのあり方は、それ自身が決めていくことが本来であるにもかかわらず、行政主導で進められています。今後のNPOとの協議・検討に期待します」などの意見が呈された。

最後に、和田守・大東文化大学学長から閉会のあいさつがあった。地域デザインフォーラムの設立の立役者でもある和田学長は、「研究成果が着実に区政と結びつき、各方面から地域デザインフォーラムの活動が注目されています」とこの6年間の活動を振り返り、「第4期の活動にも期待します」と、今後の活動へ期待を示し、報告会を終えた。