委員長からのごあいさつ

アジア地域は中国やインドをはじめとする諸国の著しい発展によって、注目を浴びています。他方で、アジア地域は貧困問題、環境問題、宗教対立問題、歴史認識問題および日中関係、日韓関係などを象徴とする諸問題の複雑さによって、研究の焦点ともなっています。
これを背景に1999年に誕生したアジア地域研究科は、アジアの歴史的な課題、アジア諸国の政治、経済、社会と文化、アジア諸国の相互関係および世界との関わりなど、多方面にわたって教育と研究を行なっています。30名の教員で構成する指導陣の多くは、長期間の現地滞在の経験を持つ専門家で、アジアの諸問題をめぐって発表した論文と著書は学界で評価されています。
このような教員陣のもとで、アジア地域研究科は、近代的諸価値に関する国際的視野を持ちつつ、アジアの伝統社会の再生に対しても十分な理解力を有する人材を育成することを目指しています。
この目標を達成するために、博士課程前期課程と後期課程を持つアジア地域研究科は、学問体系を社会科学分野と人文科学分野に大別し、政治、経済、社会、歴史、文化、芸術の6コース(専攻)に分けて、教育と研究を展開しています。
アジア地域への理解を深め、実証的な研究を実現することを求めて、アジア地域研究科では院生のフィールドワークを奨励し、できる限りの支援に尽力しています。これまで、多くの在学生は大学院から奨学金を受けて、フィールドワークを実施しました。(2014年度には8名の院生がフィールドワーク奨学金を交付されました。)
教員と院生の研究成果の発表の場として、アジア地域研究科は創立の翌年から『大東アジア学論集』を発行し、毎年、論文をはじめ、書評、研究ノート、調査報告、学位論文の要旨などを掲載しています。2015年3月には、本研究科が主催した国際シンポジウムの論文を収録した特別号『台頭する中国とアジアの新秩序』も上梓しました。
上記の本研究科の性格を理解し、アジア地域研究にチャレンジしたい方のご受験とご入学を待ち望んでおります。