Graduate school

法学研究科

国際比較政治研究所・法学研究科政治学専攻共催2022年度シンポジウム「個人的なことは国内そして国際政治的なこと――国内政治と国際政治の交錯における女性」を開催しました。

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 2022年10月25日(火)に、藏田明子先生(行政管理研究センター研究員、大東文化大学国際比較政治研究所客員研究員)と竹中千春先生(立教大学元教授)をお招きして、国際比較政治研究所との共催で「個人的なことは国内そして国際政治的なこと――国内政治と国際政治の交錯における女性」をハイブリッド方式で開催しました。
 このシンポジウムは、本学の建学の理念:である「多文化共生を目指す新しい価値の不断の創造」を意識しつつ、第二波フェミニズムを代表する標語である「個人的なことは政治的なこと(The personal is political)」がいまだに「古語」となっていない状況を踏まえて、国内政治と国際政治が交錯することによって生じる矛盾を引き受けざるをえない主体の1つが女性であるという問題意識にもとづいて企画されました。この素朴な問題意識を報告者の先生方は学問的に意義のあるものに昇華されました。藏田先生は、アフガニスタンに関する基本情報を丁寧に解説したあと、国際関係論やジェンダー研究への理論的な貢献を意識しつつ同地の女性が抱える問題とその解決を分析しました。竹中先生は、博覧強記でありながらもそれを感じさせないソフトな語り口で、国際政治学やジェンダー研究の理論や歴史展開、さらには世界各地の現状を解説しながら、エスニック・クレンジングなどの悲劇的な出来事を経験した犠牲者がサバイバー、ひいては社会全体の変革者になっていくことの必要性や可能性を熱く語られました。やや誇張にはなりますが、司会席からは、竹中先生の報告により多くの学生がまさにエンパワーメントされていくことが観察できました。
 お二人の先生の報告を受けて、国際比較政治研究所所長の武田知己先生と法学研究科法律学専攻主任の吉永圭先生が刺激的かつ適切なコメントをしました。さらに、会場からは非常に多くのコメントや質問をいただきました。それにより会場の議論は大いに盛り上がりました。対面とオンラインの参加者を合計して最大で150名以上の方が聴講され、シンポジウムは盛会のうちに終えることができました。
 残念ながら、特に国際政治において目を覆いたくなるようなニュースが多く流れているのが現状です。しかし、今回のシンポジウムは、そのような現状を「冷静と情熱のあいだ」で議論する場となったことはもちろんのこと、「希望は死なず」を強く実感する機会となりました。
 なお、本シンポジウムの記録は『国際比較政治研究』第32号(2023年3月発行予定)に掲載される予定です。

 

 ※登壇予定でしたスミス美咲先生(一般社団法人国際家事支援アソシエーション代表理事、国際家事相談支援ウーマンズプライド代表)はやむをえない事情により欠席されました。