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このたび大東文化大学大学院法務研究科(法科大学院。以下、「法科大学院」という。)について、2015(平成27)年度からの学生募集停止を決定しました。学生募集停止につきましては、平成25年12月18日の学校法人大東文化学園評議員会を経た上で、学校法人大東文化学園理事会にて決議致しました。また、平成25年12月19日に学生募集停止に関わる届出を文部科学省宛てに行いました。
本学は、2004(平成16)年4月に法科大学院制度発足とともに法科大学院を開設しました。以降、本学法科大学院は、新たな法曹養成制度の理念である「多様性」「開放性」「公平性」に応えるべく、信濃町という都心へのキャンパス設置、夜間の授業開講など、特に職業を有する社会人への教育に力点を置き、法曹養成に取り組んできました。直近3年間における未修者又は社会人学生の占める割合は9割にも及び、また、これまでに輩出した27名の司法試験合格者は、その約8割が未修者・社会人であります。このように、本学法科大学院は、本来の法科大学院の理念に沿った、有職社会人が法曹への道を実現する可能性を持つ、数少ない法科大学院の一つとして、社会の要請に応えてまいりました。社会人教育につきましては、多様な法曹人材育成の観点から、公益財団法人日弁連法務研究財団による認証評価(2013〔平成25 〕年3月)においても高い評価を得ました。
一方で、開設以降、法科大学院を取り巻く環境は年々厳しくなり、法科大学院制度設計時に目標とされていた3,000人程度の新司法試験(以下、「司法試験」)合格者は、2,000人程度に留まっており、また、弁護士の需要や法曹有資格者の活動領域についても拡大が限定的であったため、全国の法科大学院への入学を志す者が年々減少し、平成25年度の全国法科大学院の入学志願者数は、制度発足時の19%まで激減しました。また、多様な法曹人材養成という理念以上に、司法試験合格者数の多寡がより重視される風潮は一層強くなり、加えて、公的支援制度においても、司法試験合格率や定員充足率により補助額削減の方針が提示される等、未修者や学習時間の確保が難しい社会人に対する教育を堅持してきた本学法科大学院にあっては、ますます厳しい状況となりました。
このような状況に対して、本学法科大学院においては、入学定員及び収容定員を適正規模に修正するとともに、司法試験合格率の向上・入学志願者数及び入学者数の増加・本学法科大学院の評価の向上を図るべく諸々の改善策を実施してまいりました。
具体的には、日曜日の授業開講や本学法科大学院修了者で弁護士になった者による指導体制の強化などの学習環境の改善を行うとともに、成績評価や授業内容の改善策として、GPA制度による進級・修了判定基準の導入や、教員間の授業相互参観・定期試験問題の相互検証など組織的に努力を重ねてまいりました。
しかしながら、結果として、2009(平成21)年度の入学者より現在に至るまで慢性的な定員割れ状態が続き、今後も安定的な学生数の確保は困難であると判断致しました。また、今後も、本学からの司法試験合格者が飛躍的に増加することは難しく、本学法科大学院の最大の特色であり、強みでもある未修者や社会人学生の教育に力点を置く方針については、入学者の「多様性」確保という観点で高く評価される一方で、その成果を社会に示すことは極めて難しいと判断するに至りました。
以上のとおり、本学法科大学院の未修者や社会人教育に重点をおく教育理念・方針・特色の下では、今後長きに亘って組織運営を継続することは極めて困難であり、また、将来的にも学生数の安定的な確保が見込めないこと等から、2015(平成27)年度からの学生募集停止を決定しました。
本学法科大学院の今後につきましては、2014(平成26)年度入学予定者を含む在学中の学生の教育環境の維持、法務研修生を含む修了生の司法試験受験支援を最優先に、教育機関としての責務を果たすべく引き続き取り組んでまいります。
在学生・2014(平成26)年度入学予定者・修了生の方々、並びに、これまで本学法科大学院にご支援・ご尽力くださいました皆様方には、このような決断にいたりましたことを深くお詫び申し上げます。
専門職大学院において培ったこれまでの教育経験と知識を糧に、今後とも本学は精励邁進していく所存です。今回の決定につきまして、何卒ご理解頂き、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
なお、2014(平成26)年度入学予定者を含む在学生及び法務研修生に対しましては、本内容を個別に連絡の上、今後の本学園の対応・方針について説明会を開催いたします。
平成25(2013)年12月19日
学校法人 大東文化学園理事長 市川 護
大東文化大学 学 長 太田 政男
大東文化大学 大学院法務研究科長 南隅 基秀
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