2009年度現地研修報告―タイ
2010年4月20日

今年度のタイ語の現地研修は26日間(2009年9月26日~2009年10月21日)行われた。受け入れ先は、タイ国立チュラロンコーン大学文学部で、授業はタイ人教員のもとチュラ大が作成したオリジナルのテキストに基づいたプログラムが実施された。内容はほぼ網羅的であり、買い物など実践で役立つ内容が多く盛り込まれていた。
学生によるとテキストのレベルは丁度良く、日本で事前に学習したタイ語の良い復習になったとのことである。教師は一週目までは理解が難しい場合などには日本語を用いていたが、徐々に日本語の使用頻度を減らし、後半はほとんどタイ語のみで授業を進めていた。文字については板書とテキストともにタイ文字と発音記号との併記であったので、大変分かり易かったようである。またクラスの雰囲気としては大変質問しやすい雰囲気であったので、間違いを恐れずに皆積極的に話していた。授業で習ったことの実践として、実際に大学構内にある市場や食堂に行って買い物をする回や、授業に日本語を習い始めたばかりのチュラ大の工学部の学生が来て、日本人学生とお互いの言語で自己紹介をする回があったが、この自己紹介の授業ではタイ人学生と日本人学生お互いの言語の習得レベルが近かったので大変良い練習になったようである。
現地研修の素晴らしい制度として、チュートリアルがある。チュートリアルではタイ人学生(チューター)が日本人学生に一対一で一時間程度個別にタイ語の指導を行うが、学生たちはチューターとは学校生活外でも個人的につながりがあり、休日には一緒に市場やお寺などに出かけていき、タイ文化の内部者の視点からいろいろ教えてもらうなどしていた。これにより、実際にタイ語を使う機会が増え、何よりもタイ文化を直に体感できる良い機会が得られていた。

旅慣れないせいか、バンコクに到着したその日から体調を崩す学生がでたりして、このままではタイが嫌いになってしまうのではないかと心配したが、最終的には全員そろって笑顔で(そして恐らくタイを好きになって)成田に降り立つことができた。実際にタイに行き生活をしていく中でタイへの認識が変わり同時に、日本についてある程度客観的に見ることができるようになったのではないだろうか。異文化へのさらなる探求の契機として現地研修の意義の大きさを感じる。
(国際関係学科准教授 瀧口 明子)