はじめに

この『タイ語読本』は、タイ語の基礎を学び、文法をひととおり学習した日本人学生が、さらに一段上のタイ語力をつけるために作られました。したがってここに収録された文章は、タイの新聞、タイの小学校上級生の国語教科書、小説、物語、評論、旅行ガイド、論文、大学の広報紙など、現在タイで使われている多種多様な題材から選ばれています。特殊で学習してもあまり役にたたない表現や単語は除外しましたが、基本的に原文のままです。実際の学習では、状況に応じて、興味ある話題の課から始めていただいてかまいません。各ジャンルのさわりだけではありますが、現在タイで使われるタイ語ですので、生きたタイ語に出会えることと思います。難易度も様々ですが、タイの社会、政治、文化など特有の“匂い”を感じてもらえたらと考えます。

全体は、第一部と第二部からできています。各課には、学習者の便宜を考えて、まず新出の単語を取り出して、日本語の意味をつけてみました。また、重要な熟語や文型については、説明をつけてみました。必要な例文ものせましたので、熟語や文型の使い方をもう一度、本文とは違う別の角度から確認してみてください。講読のための本ですので、単語の意味、そして文全体の意味を正確にとらえるためには、どうしてもタイ語辞典を積極的に引くことが大切になります。

テキスト作成にあたっては、大東文化大学国際関係学部の教師(小泉康一)と、その協定校である、タイ・チュラーロンコーン大学文学部の二人の教師が担当しました。その結果、テキスト作成は、この二つの大学の共同作業となりました。チュラーロンコーン大学のサオワラック・スリヤウォングパイサーン先生(Associate Professor Dr. Saowalak Suriyawongpaisal)とワチット・プムユー先生(Mr. Watit Pumyoo)には、お忙しいところ多大なご協力をいただきました。三人の共同作業の結果、このテキストは完成しました。お忙しい中、テキストの作成に尽くされた両先生に改めて厚く感謝申し上げます。なお内容その他、改良の余地が多々あるとは思いますが、それはまた今後の課題と考えています。

最後に、このテキストは、文部科学省の2006年度「特色ある大学教育支援プログラム」に選定された大東文化大学国際関係学部「アジア理解教育の総合的取組」の事業の一環として、文部科学省の補助金を得て、出版されることを申し添えます。

2008年3月15日