まえがき
このテキストは皆さんの大先輩にあたる国際関係学科の4期生でウルドゥー語を専攻した堀江弘道さんによって書かれたものであります。書き始めてから完成に至るまで堀江さんは、原稿を持って10数回、大学に足を運んでくださり、2人でその原稿を検討しあいました。そして今日ようやく出来あがりました。その間、GPの招聘で来日したパンジャーブ大学オリエンタル・カレッジ教授タフスィーン・フィラーキー先生に4回にわたりウルドゥー語の文をチェックしてもらいました。
このテキスト作成の前にいかにしたら生きたウルドゥー語を学べるテキストが出来上がるか相談し、それぞれの課を会話文で始め、それに対する質問を用意することにしました。その他、わたしたちが外国人としてパーキスターンに行ったとき、相手に失礼にあたらない話し方はどうあるべきかも話しあいました。
このような点からもこのテキストを作成するのに堀江さんは適任でした。堀江さんは大学を卒業するとパンジャーブ大学に4年間留学し、帰国後は青年海外協力隊のウルドゥー語講師として教えているからであります。毎年2回ずつ2か月のウルドゥー語研修を隊員候補生にさせて、新しい隊員を現地に送り出しております。そして現地に赴いた隊員よりウルドゥー語を使う中での難しさについての情報を得ているからであります。その一つの例として「あなた」である「アープ」と「君」である「トゥム」の例をあげました。隊員は礼を失しないように「アープ」を使ったが、その返答として「トゥム」の言葉が返ってきて、面くらったと隊員からの報告があったとの話もしてくれました。
このような点にも注意がはらわれてこのテキストはできております。
みなさん、このテキストにある言い方を覚えましょう。全部ではなくてもいいです。半分でも覚えればみなさんの前に必ず新しい世界が開けてきます。
みなさん、知っていますか。2050年になると、ウルドゥー語と話し言葉ではほとんど同じであるヒンディー語の両方の言葉をあわせた話者人口が、英語は除き、世界で、1,2位を争う話者人口の言葉になるということを。
今はウルドゥー語を勉強する人は少ないです。おそらく言葉の呼び名のせいで誰も勉強しようと思わないのでしょうが、ウルドゥー語の将来は決して暗くないです。みなさんがこのテキストを使い一つでも余分に言い方を覚え、新しい世界に飛び立っていくことをウルドゥー語教員は願ってやみません。
なお、このテキストは文部科学省の2006年度「特色ある大学教育支援プログラム」に選定された大東文化大学国際関係学部「アジア理解教育の総合的取組」の事業の一環として、文部科学省の補助金を得て出版されるものです。
2009年3月
片岡弘次